🦊花狐風月(着物カラスバ×主)
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「デートだってさあ」
気を紛らすためにせっせとポケモン達の手入れをしながら、不安が口をついて出てくる。
「荷が重いよお〜」
ポケモンに寄りかかると気弱な自分が出てくる。
あの慣れた手つきで腰を抱き顔を引き寄せる男をデートでときめかせろだって?
次はデートだからそういう意味で頼むで、と宣言された上でこっちから誘うの?
……バトルでボッコボコにしてと言われるほうが楽だ。絶対そう。
「は〜でも昨日楽しかったし私もちゃんとカラスバさんを楽しませなきゃな……」
元気付けてくれて心配させたことへのお礼だと思えば。
経験に劣る私はまず町へ出て情報収集することにした。センスが無いなら人を頼ればいい。
「カラスバさん、明日のお昼、私に時間ください」
「お誘い?」
「はい」
「…大丈夫?無理せんでもええで?」
バトル相手にする顔が出てしまっている私をカラスバさんが気遣った。気合い十分。慣れないことを精神力でカバーしているだけだが。
「デートなので現地で待ち合わせでお願いします」
「あら。それは楽しそうやね。ほんなら、明日よろしゅう」
部屋に戻ってもさっきのカラスバさんのいたずらっぽい瞳が頭から離れなくて、ちゃんと眠れるのかと思った。
楽しみにしてる、という言葉が甦って耳を熱くする。
ポケットの中でスマホロトムが震えた。
ピュールからだった。食卓を囲む写真と『早く戻ってきてカナリィさんの配信を見て下さい』っていうメッセージを添えて。いつも通り、見慣れたやり取り。
うん。…戻るまでに、戦果を上げなきゃ。
夜が明けると、私の切々とした思いを吹き飛ばすような陽光の清々しい日になった。
緊張はしている。しているけど一人で飛行機に乗ってミアレを発った日に比べると別種の緊張だ。すーっと息を吸い込みカラスバさんに違いない人影へ近付いた。
「カラスバさん、ゲストがホストより先に着いちゃダメですよ」
「ポケモンにせっつかれて早めに出てもうた」
カラスバさんだと遠目にも分かったのは着物と目立つ髪色が目印になっていたから。今までの落ち着いた色合いと違って鮮やかな青色の着物に包まれた姿は「若旦那さん」という風情だ。
「普段こういう色は着ないんやけどな。セイカによく似合う色やし綺麗やなって」
「今日は私がリードするので」
「ごめんごめん、そやったな」
赤い顔を見られないようにカラスバさんの後ろに回ってお店へと押し込んだ。ちょっと皆さん、この人デート相手が映えるように着る物を選んできてます。
もし正式に付き合っていたらきっとすごく晴れがましくなって、皆に自慢したくなるんだろうな。今はとにかく気恥ずかしい。
幸いにも出された料理がどれも凝っていて私はカラスバさんを真正面から見ないで済んだ。
時々目を上げるとこっちへ向かって微笑んでいて心臓に悪いから助かる。
「この後ちょっと歩いて回りたいんだけど、いい?」
「もちろん」
小さい頃に行ったことのある場所を巡るつもりだ。
いろいろ考えてみたけどこれになった。
気取った場所や初めての場所にも興味はあるし二人で行ったらきっと楽しいだろう。
記憶にあったのと全く変わらない場所もあれば綺麗になっている場所まで。私にとって当たり前の風景も二人で見て回ると新鮮な気持ちになれそうだから。
カラスバさんは真剣に耳を傾けながら私の昔話に付き合ってくれた。
「これってセイカが考えてくれたん?」
お茶屋さんで一息入れて休憩しているところでカラスバさんに問われた。
「いろいろ調べてみたんだけど、行ったことのない場所より私のこと知ってもらいたいなと思って」
「思ったよりもちゃんと考えててくれて嬉しいかも」
…よかった、成功みたいだ。
ほっと胸を撫で下ろした。
カラスバさんの手が私の手に重なった。
暫く二人で黙って見つめ合ったあと、
「朝帰りでもしたほうがお家のみなさんは喜ぶやろけどなあ。最初のデートやし暗くなる前に戻ろか」
とカラスバさんが立ち上がった。
キスをされるかと思って心臓が跳ねた。
気を紛らすためにせっせとポケモン達の手入れをしながら、不安が口をついて出てくる。
「荷が重いよお〜」
ポケモンに寄りかかると気弱な自分が出てくる。
あの慣れた手つきで腰を抱き顔を引き寄せる男をデートでときめかせろだって?
次はデートだからそういう意味で頼むで、と宣言された上でこっちから誘うの?
……バトルでボッコボコにしてと言われるほうが楽だ。絶対そう。
「は〜でも昨日楽しかったし私もちゃんとカラスバさんを楽しませなきゃな……」
元気付けてくれて心配させたことへのお礼だと思えば。
経験に劣る私はまず町へ出て情報収集することにした。センスが無いなら人を頼ればいい。
「カラスバさん、明日のお昼、私に時間ください」
「お誘い?」
「はい」
「…大丈夫?無理せんでもええで?」
バトル相手にする顔が出てしまっている私をカラスバさんが気遣った。気合い十分。慣れないことを精神力でカバーしているだけだが。
「デートなので現地で待ち合わせでお願いします」
「あら。それは楽しそうやね。ほんなら、明日よろしゅう」
部屋に戻ってもさっきのカラスバさんのいたずらっぽい瞳が頭から離れなくて、ちゃんと眠れるのかと思った。
楽しみにしてる、という言葉が甦って耳を熱くする。
ポケットの中でスマホロトムが震えた。
ピュールからだった。食卓を囲む写真と『早く戻ってきてカナリィさんの配信を見て下さい』っていうメッセージを添えて。いつも通り、見慣れたやり取り。
うん。…戻るまでに、戦果を上げなきゃ。
夜が明けると、私の切々とした思いを吹き飛ばすような陽光の清々しい日になった。
緊張はしている。しているけど一人で飛行機に乗ってミアレを発った日に比べると別種の緊張だ。すーっと息を吸い込みカラスバさんに違いない人影へ近付いた。
「カラスバさん、ゲストがホストより先に着いちゃダメですよ」
「ポケモンにせっつかれて早めに出てもうた」
カラスバさんだと遠目にも分かったのは着物と目立つ髪色が目印になっていたから。今までの落ち着いた色合いと違って鮮やかな青色の着物に包まれた姿は「若旦那さん」という風情だ。
「普段こういう色は着ないんやけどな。セイカによく似合う色やし綺麗やなって」
「今日は私がリードするので」
「ごめんごめん、そやったな」
赤い顔を見られないようにカラスバさんの後ろに回ってお店へと押し込んだ。ちょっと皆さん、この人デート相手が映えるように着る物を選んできてます。
もし正式に付き合っていたらきっとすごく晴れがましくなって、皆に自慢したくなるんだろうな。今はとにかく気恥ずかしい。
幸いにも出された料理がどれも凝っていて私はカラスバさんを真正面から見ないで済んだ。
時々目を上げるとこっちへ向かって微笑んでいて心臓に悪いから助かる。
「この後ちょっと歩いて回りたいんだけど、いい?」
「もちろん」
小さい頃に行ったことのある場所を巡るつもりだ。
いろいろ考えてみたけどこれになった。
気取った場所や初めての場所にも興味はあるし二人で行ったらきっと楽しいだろう。
記憶にあったのと全く変わらない場所もあれば綺麗になっている場所まで。私にとって当たり前の風景も二人で見て回ると新鮮な気持ちになれそうだから。
カラスバさんは真剣に耳を傾けながら私の昔話に付き合ってくれた。
「これってセイカが考えてくれたん?」
お茶屋さんで一息入れて休憩しているところでカラスバさんに問われた。
「いろいろ調べてみたんだけど、行ったことのない場所より私のこと知ってもらいたいなと思って」
「思ったよりもちゃんと考えててくれて嬉しいかも」
…よかった、成功みたいだ。
ほっと胸を撫で下ろした。
カラスバさんの手が私の手に重なった。
暫く二人で黙って見つめ合ったあと、
「朝帰りでもしたほうがお家のみなさんは喜ぶやろけどなあ。最初のデートやし暗くなる前に戻ろか」
とカラスバさんが立ち上がった。
キスをされるかと思って心臓が跳ねた。