刺激される感情
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面は、オイラにとって抑制をしてくれる必要なものとなっていた。
これをつければ見せたくない感情を隠すことが出来る。
そうやってこの3年。人と深く関わることを避けて過ごしてきた。
なのに……なぜ、この者にはこうも苛立ちを隠せないのだろう。
「背中を見せよ」
そう太一君が言えば、戸惑いながらも君はすぐに背を向けた。
「……まぁ、背中くらいなら……」
……背中くらい、だと?
君にとってオイラは何なのだ。仮にも男がいるというのに、ホイホイ見せるのか?
……いや、問答無用で見せろと言われれば……太一君から言われれば従ってしまうものなのかもしれない。
男として見られていない。
そう、思いたくなかっただけかもしれなかった。
太一君が腰にある模様を確認し、この場を離れた。
オイラもすぐに出ればよかったのかもしれない。
だけど、そうしなかったのは……試してみたかったからかもしれない。
近づくと、それすらも君は気づかない。
背後からだからか?いや、それがというわけではない。無防備なだけなのだ。
ツ……と、背中に触れた。
ようやくビクッと反応が見えた。
「ち、井宿!?」
振り向こうとしてくるから、もう片方の手を肩に置いた。向かれてはさすがに困る。
「井宿?」
すでにその声は落ち着きを取り戻していた。
なぜだ?オイラは今、君の肌に触れているというのに。
……平気なのか?
「君は背中くらいなら誰にでも見せることが出来るのだ?」
気がつくと、そんなことを口走っていた。
「え?」
案の定、君は素っ頓狂な声を出す。
……もうあとには引けない。
「君は……オイラに触られてもなんとも思わないのだ」
「ええ??井宿、どうし……」
「心宿に触れられていた時の君は、真っ赤になっていたと言うのに……」
オイラには顔色ひとつ変えない……。
「井宿も見たの!?」
そんなことはどうでもいい。
正直、見なければよかったとも思っている。
「君は馬鹿なのだ……あんな手に引っかかって……今だって……」
「井宿?」
「警戒心が無さすぎなのだ」
ほら、今も……。
オイラが君の肩に顔を埋めても……。
君は……。
「ふっ……ふぇっくしょん!!」
「!?」
「ふっ…えっくしょん!!」
な、なんだ……?
「奏多……?」
「あーもう、井宿の前髪で鼻がムズムズした」
有り得ないのだ。
……いや、有り得ないのはオイラか。
何をした?
自ら深入りして……どうするんだ。
奏多から体を離すと、勢いよく布を掛けた。
「服を持ってくるのだ」
いつまでも同じ空間にいては毒されてしまいそうだ。
今は、必要ない。
人との馴れ合いは……御免なのだ。
fin.