刺激される感情
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「奏多!?お前、隠れてろって……!」
「そんな事言ってられない!美朱が危ないのよ!朱雀の者は入れないんでしょ!?」
君は開口するや否や、そう叫んだ。
美朱がこの中にいるのがわかるのか?ここが朱雀の者が入れない空間になっていると、わかるのか?
そして……君は続けて言った。
「私はきっと中に入れる。鬼宿、退いて」
君は……この中に1人で入ろうというのか。
「井宿、あなたなら……こんな“結界”、破れるんじゃない?」
そして……わかるのか。
オイラにはこの“結界”を破ることができる、と。
「………やってみるのだ」
今まで大した術は使っていない。それでも君は、ここをオイラに任せて中へと入っていった。
君はオイラの力量を知っている。そう、思った。
「……こうなれば本気を出させてもらうのだ」
彼女がそれを求めるのなら、オイラも本気をだそう。
気を高めていると、中からの轟音。
なんだ、何が起こった。
「井宿!壁が!!」
鬼宿の言う通り、壁に亀裂が入っている。
「むぅっ!」
この亀裂が、オイラを入りやすくした。
現状は、とても生易しいものではなかった。
美朱は倒れ込み、その前に奏多が立ちふさがっている。
「2人を返してもらうのだ」
美朱を抱え込むと、印を結んだ。
正直、寄ってたかって……というこの空間に反吐が出そうだ。
「むんっ」
一気に“気”を放つ。周りが衝撃波に寄って粉々になった。
チラ、と奏多に目を向ければ、この爆風の中を耐えていた。
鬼宿が中に押し入り、美朱を引き渡す。
すぐに笠に念を込めると、彼らに差し出した。早くこの場から離れることが最優先だった。
「鬼宿!この笠の中に美朱と奏多を入れるのだ!あの方の所に通じているのだ!!」
鬼宿と美朱が唯も一緒に、と叫んでいる。
早く入れと言っているのに、この者達も、そして……奏多までも動かない。
「奏多!早くするのだ!!」
心宿が阻止をしてくる。オイラだけでは、この者達を護りきれない。
早く……早く入れ……っ。
既に、苛立ちが芽生えてきた時だった。
「奏多。ここに残って」
今、何と行った?ここに心宿とは別に見知らぬ男がいるが……この者は誰だ。
この男は君の何なのだ。
異世界から来た君に知り合いがいるのか?来た時からずっと、オイラと一緒だった君が?
「井宿……」
なんだ、その声は。
「まさか馬鹿なことを考えてるのだ!?」
言うな。聞きたくない言葉だ。
「彼を、置いていけない……」
「ふざけるな!!!」
「ッ……」
苛立ちを抑えられなかった。
なぜ……こんなにも平静を失った?
その一瞬の心の迷いと戸惑いに、心宿の攻撃を避けられなかった。咄嗟に手で庇うものの、パラ……と面が剥がれ落ちた。
それももう構っていられない。
「奏多。話は後で聞く!早く入れ!!」
むんず、と奏多の襟を掴んだ。そのまま美朱と鬼宿が入った笠に投げ入れた。
こんな……手荒なことをしたのも、初めてだった。
奏多の姿が全て笠に入ったのを確認すると、オイラは頭からそれを被った。