ふしぎラビリンス6~授ける想い~
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何が、起こった?
今……何が起こっている?
はっとする頃には旺牙は唇を離した。
「な、に………」
「これで2回だな」
「!」
意味が、わかった。
こいつ……自分の力を渡そうとしてるんだ!
「や、やめろ!いらないよ!!」
「うるさい」
「だ、だめだって!お前、嫌だろ!?やめろよ……!」
引き腰になる私の腰を、旺牙がぐっと引き寄せる。
あまりの密着度の高さに目が回りそうだ。
「お、旺牙……!」
「騒ぐな。あと1回だ」
それがヤダって言ってんだよー!!
旺牙の力!?
いや、いやいやいや!!壊れる!やばいよ!!
使いこなしてみろ?いや、無理だから!!
「お前のなんて、無理っ………ッ」
私の抵抗なんて、それはただただ虚しいだけだった。
ようやく手首を掴んでいた手も離れたかと思えば、顎に手をやり上に向かせられる。
「っ……」
腰は未だ抱かれたまま。解放された手で旺牙を押しやろうとする頃には……唇は完全に奪われていた。
さらに後頭部には旺牙の手が回り、私の頭は動かなくなった。
「ふ………、っ………」
なぜだ。先程よりも深い。
それにこれはなんだ。旺牙の舌か。すかさず口を割って入ってきた。
「んっ………ぁ、……ッ」
途端に体が熱くなる。
心臓が一度だけ大きく高鳴った。
……なん、だ?
周りに対する感覚が……変わった……?
「………っ、はあ……」
唇はすぐに離れた。
その瞬間自分でも恐ろしくなるほど、無意識に旺牙の脇に差してある剣を抜き取っていた。
それに気づいた旺牙は飛び退いて間合いをとる。
「剣を返せ」
「ふざけんな………」
ゆら……と剣を構えた。
明らかに私には不釣り合いな大きくて長い剣。
それに前に持たせてもらった時は重さも感じたはずだ。
なのに今は……これは私のではないのかと言うほど手に馴染む。
「その構え……俺の力はちゃんと受け取ったらしいな」
「いらないって言った……!」
無性に腹が立った。こんなことで力なんて欲しくない!
カシャン、と剣を落とした。
「どうしてくれるんだよ……お前のなんて手に負えないよ……」
その場に座り込んだ。
さっきから何かがおかしい。異様なまでに……神経が……敏感になっている。
「ッ……触るな!!近寄んなよ!!」
ほら、今だって私に触れそうになる旺牙の手を払い除けた。
「使いこなせるはずだ……あんたなら」
「……………」
簡単に言ってくれる。
攻児のでさえどれだけ大変だったと思ってるんだ。
「………俺の代わりに、頭を頼む」
…………なんだ、今の……。
顔を上げれば旺牙は既に姿を消していた。
さっきの言葉……なんだろう。言い方といい、何となく胸騒ぎがする。
傍には、旺牙の剣が今も落ちていた。
……旺牙が剣を忘れていった?
まさか。有り得ないだろ。
手に握ってみる。
やっぱりこの剣の重さを感じない。
「でも、この力は偽りなんだよ……」
今は重くなくても、いつかその代償はやってくるんだ。
じっとしていられない。旺牙に剣を返さなくてはと立ち上がった。するとこの厨房に勢いよく駆け込んでくる人物に、驚くほど素早く旺牙の剣を構えた。
「わっ!!オレや、オレ!!」
「………翼宿」
剣先が翼宿の首元を狙っていた。
無意識だ。
「ぁ………ご、ごめっ……」
思わずカシャン、と剣を落とす。
手が震える。今、私は誰に何をしようとしたんだ?
「それ……旺牙のやろ。何があった」
「翼宿……あの……今」
「……旺牙も今、オレの部屋に来たんや」
「え……?」
旺牙が、翼宿の部屋に?
あのまますぐに行ったのだろうか。
「旺牙がな、自分は女に手を出したから、山を降りるて言い始めたんや」
今、なんて………。
「女はお前しかおらん。何があった」
翼宿の鋭い目が、私を射止める。
まさか……。
「旺牙………っ」
私はいてもたってもいられず、翼宿の部屋へと走り出した。