ふしぎラビリンス1~夢は現実に~
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う……体が痛い。なんでこんな痛みが体中に……?
「頭!ちょっと見てくれまへんか!」
あれ、誰か近くにいる。
おかしい……私は1人で仕事場にいたはずだ……。
それに「かしら」ってなんだ?
「なんや、こいつは」
「し、死んどるんとちゃいますか?」
「追い剥ぎにでもおうて力尽きたか……オレの山で、迷惑なやっちゃ」
なに?何を話してるんだ?
なんか今、死体にさせられている気がする。
ただ痛くて動けないだけなのに。
体を起こして助けを……と思っていると私は肩をぐいっとされた。
うつ伏せで倒れていた私はここでごろんと反転させられ仰向けになった。
い、痛い……。
うっすら目を開けて生きていることを知らせた。
「生きとるやん」
ぼやっとした視野が、くっきり覚醒してくる。
目の前に飛び込んできたその“色”に、目が釘付けになった。
「オレンジ、………」
「あ?なんやて?」
間違いない。
この声、この……顔。
この人を知ってる。
「たすき……だ………」
「!」
名を口にすると急に現実味が出てきて、ぶわっと、鳥肌が立った。
これは夢を見ているのだろう。とうとう私は夢で見るようになったのか。
「っ……」
夢だと言うのに何故こんなにも痛い。起き上がれない。
どうしてこんなに……。
「なんで……知ってんねや」
彼は痛みに悶える私を気にするわけでもなく、低い声を出した。
そして、横になったままの私に突き出されたのは……ハリセン。いや、鉄扇。
あ……この夢やばい。これは敵視される系の夢だ。
「あの……ちょっと私の話を……」
「………お前、女か?」
おい待てコラ。
鉄扇を下げてくれたのはありがたく思おう。燃やされるなんて嫌だ。……怖いし。
でもその反応は酷くない?私……水着じゃなかった?
「この格好見て……それ言うかなあ……」
「…………」
しかも私の呟きは無視。
「おい、お前の服、貸したれ」
「へい」
え?服?
や、やさ……優しいじゃないの。
私を起こしてくれると、貸せと頼まれた人は自分の上に着ていたものを脱いで私の肩にかけてくれた。
なんと……脱がれたその服の下、鍛え上げられた肉体なのだろう。
ジムで目にすることもあるものの、なかなかここまで……出来上がった体はない。
いやいや、何を考えてる。私。
貸してくれた人に、ペコリと頭を下げて着物のようなものに腕を通す。
前合わせに重ねると、そこを手で押さえた。
「お前、この下の村のモンなんか?」
「え?……いいえ」
「ほなどっから来たんや」
どこから………。
言っていいのだろうか。夢だからいいだろうか。
「………い、」
「…………」
「異世界?」
あ、固まった。
目だけは合ったままで……そして同時に笑った。
「だははははは!」
「あははははは!あっ、痛っ……」
あまり大きな声を出すと体の痛みに響く。
体を包み込みながら怪我がないか確認する。
どうやら打ち身のようだ。もしや高いところから落ちたのか。
「嘘やろ?」
「え?いいえ~」
「………嘘やろ?」
「いいえ」
「嘘やと言わんかい!!今なら見逃し……」
「いいえって言ってるだろが!!しつこい!!」
私の一喝でその場が静まり返った。そして、徐々にざわつく周りの声。
「異世界から……女?」
「ほんならまさか……またこの国は……」
また?何を言ってるんだ?
私は目の前で固まったままの翼宿に、目の前で手をチラチラさせてみる。
「おーい、あのー……」
変な夢だな。そろそろ起きそうなものなのに。そう思っているとパシッと手を掴まれた。
ビックリしてると、彼はこう言った。
「……また、朱雀の巫女が現れたんか……?あいつは……どないしたんや」
また……朱雀の巫女?
あいつって言うのは……。
ぎゅっと締められる手が、痛い。
痛い……なんて。これは夢じゃない、ない?
「巫女って……み、美朱のこと?」
「知っとるんか!?」
「え……と、一方的に?」
「あいつら、元気にしとるんやろな!?」
元気に……?
え、ちょっと待って。なんか様子……おかしくない?
仲間を引き連れて……“頭”と呼ばれている翼宿。
異世界から来たといえば、“また”と言う。
そして“美朱は元気してるか”だって?
それは、つまり……。
「朱雀って……もう召喚されたの……?」
「!」
うわ、今わかりやすいくらいにピコン!と反応した。
あ、ああ……これは夢じゃない。
ここは……本当にあの世界。
そしてもう……美朱が朱雀召喚を成し遂げたあとの紅南国だ……。