ふしぎラビリンス6~授ける想い~
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な、何故だ……。
どうして目の前に
「……何者だ……どこから来た……」
だよねえ!!そう思うよねえ!!!
ああ、どうして私1人なんだ……!どうやったらここから生きて帰られるんだよー!!
「答えぬつもりか……」
っ…………!!!
怖ええ!!!この人の放つオーラ、声、どれも怖いんですけど……!!!
「い、やぁ……ちょっと通りかかっただけ……」
「……………」
「嘘です!!すんません!!なんか、急にここに来てたんです……!」
「……朱雀……」
「!!!」
え、何なに!?
天罡が手をかざす。
やべぇよ……殺される!!!
「や、やめ………」
でもその手からは何も発されることはなく、ただ、私の懐に入れていたスマホが……スィーっと勝手に出ていった。
「あっ!!それはダメ!!!私の宝物なんだよ!!!」
ふわふわ浮いて、天罡の元へ行こうとするスマホを抱きしめる。
行かせてなるものか!!今は電源はつかないものの、この中には神的画像がたんまり入っているのだ!
「朱雀の気……お前は、誰だ……」
「へっ?」
「我は……全てを知る者。だがお前は……巫女でも七星でもない……調べさせてもらおう」
「え……」
今度こそ、天罡の手が光った。
まずい……!そう思った時、私の手の中も光った。
赤く光り輝く。
綺麗……。
そう思った時には私は光に包まれていた。
もう眩しさは感じなくなっていた。
閉じていた目を開けてみる。
「南央!!しっかりせい!!」
……三白眼。
その必死な目をする翼宿の顔が、私の目の前にあった。
「よかった!気がついたのだ!!気分は悪くないのだ?」
横から井宿が眉をはの字に覗き込んでくる。
はて。
私は一体、これはどんな状況なんだ?
「え、と……何が……」
「弾き飛ばされたのだ。太極山に連れていこうとしたのだが……」
「お前、一瞬消えたんやで。覚えとらんのか?」
真上で声が聞こえる。
一瞬、消えた……?
それじゃあ、あれは……夢とかではなくて本当に……?
「ぁ………」
「南央?おいっ、どないした……!」
翼宿が手を握ってくる。
私が手をあまりにも震わせていたからだ。
「今……会って……」
「何……?」
「あ、あいつに、会った……!」
「あいつ?あいつて誰や!!」
「、………っ」
“天罡”
そう無意識に口に出そうとした瞬間に、喉が熱くなる。
「あッ……っ!!!」
「チィッ……またかいな!」
喉に手を伸ばそうもんなら、翼宿はさらに手を掴み、強く拘束した。
「南央、ダメなのだ!何も言わなくていいのだ!!」
井宿の言葉にコクコクと首を縦に降る。
私がもう口に出さないとわかったのだろうか。熱も引いてきた。
「あ………っ、……はぁ………ごめん、ごめん翼宿……」
「何が……“ごめん”やねん」
目の前に苦痛に歪まれた顔がある。
心配させてる。それが今、私の体にかかる圧でわかる。
私は翼宿に抱きとめられて座り込んでいた。
ああ……どうしよう。
俯いて自分の顔を隠した。
見せたくない。こんな、情けない顔。
こんな、怖がってる顔なんて……。
「ごめんっ……知られた、私の存在っ」
あいつは私のことを知らなかった。
巫女と七星のこと、この世界の全てを知ると言っていたあの男が、私のことは知らない、と言った。
それもそのはずだ。
私はこの世界のものではない。美朱の世界のものでもない。
だから考えようによっては、影で動くことも出来たのに。
それなのにっ……。
「ごめん……っ、私、役立たずだっ!」
声が絞り出た。普段では出ないような高い声になった。泣いている、と思われたのかもしれない。
ふいに頭を触られたかと思ったら、グイッと引き寄せられた。
そのまま翼宿の胸にコテンと頭が当たる。
「お前が……役立たずなわけあるかい」
「翼宿……でも……」
「もうええから。お前が悪う思うことなんて、なんもあらへん」
そう言いながら頭を上下する手がとても優しく感じられて、私は素直にその優しい仕草を受け入れた。
怖くてしょうがなかったはずなのに、ここにいてくれるだけで、安心した。