ふしぎラビリンス6~授ける想い~
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「て……」
天罡(てんこう)、と言おうとした。
たったその言葉を言うだけなのに喉が……熱くなった。
「く、はッ………!!あつッ!!!」
「おい!どないした!!」
熱い熱い熱いーーー!!!
なんっだ、これ!なんだよ!私にも妨害があるのかよ!!
いいじゃん!言ったって!むざむざ危険に晒したくないだけじゃん!!
「あぅッ……」
喉を掻きむしりたくなるほど熱い。
ガリ、と喉をひっかくと、翼宿がその手を掴みあげた。
「やめんか!急に何しよんねん!」
「 アカン!血ィ出てしもとる」
「井宿!なんやこれ!」
「わからないのだ……ただ、朱雀の気が強くなっているのだ!」
「なんやて……?」
ああ、もう、ほんとすみませんっ。
もう言わない!もう言わないから……!!!
必死に心中で誰にというわけでもなく懇願した。
すると、ふ……と熱さが消えた。
「あ……はは、止まった………」
へなへなとその場に座り込む。
手はまだ翼宿が握っていて、腕だけ上に持ち上げられていた。
「もう、急に来るじゃん……この世界……ほんと怖いなあ……」
呟くと、グッと手を握り締められた。
「いたッ……!今度は何!?」
痛みのする手を睨み上げる。
そこには私以上に睨みをきかせている、翼宿がいた。
うーん………やば。こっちも怖いね。
「今のは……なんや……」
ものすごく怒気がわかる声。
ひく、と顔がこわばる。
「え、と……よく、わかんな……」
「そないなわけあるかい!!」
「っ……」
そのすごい声が上から降ってくる。
ああ、これか。人から怒鳴られるのって、結構びっくりするんだな。
だけどさ。ビビらせられて泣くような、女でもないんだよね。
「わ……っかんないって言ってるだろ!!!うっさいわ!!」
「んなっ……」
バッと立ち上がって、下から覗き見あげる。
ぐ、と喉につまらせるように上から見下ろす翼宿と目が合った。
「こっちだって、いきなりのことでビックリしてんの!!知ってるよ!あんたらに何が起こるのか!知ってんだけど、話そうとして喉が熱いなんてさ、言うなってことなんだろ!これは!!」
まくし立てるかのように負けじと声を張った。
「ふう~……血の気の多い2人なのだ……」
困った声を出す井宿と、私と翼宿の間に手を割り込ませる攻児がため息をついた。
「その辺にしといて……先に手当て、しよな?」
ちらりと攻児を見れば、ちょんちょん、と自分の首を差す。
あ、そうだ。引っ掻いたんだ。
ヒリヒリしてきてるんだよね。
「……………」
翼宿はまだ睨んでいた。それでももう、怒鳴ることはなく、私は自室で出来立ての傷を手当してもらった。