ふしぎラビリンス1~夢は現実に~
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「おはようございます!」
「おはよう。南央ちゃん、そんな急がなくてもいつも早いんだからいいのに」
「いえ!そういうわけには!掃除!行ってまいります!」
いつもより早く足を動かして、私の職場であるスポーツジムについた。
こう見えて体力だけは自慢だった。
風邪なんて引いたのも随分前。怪我もないし、怪我をさせたこともない。
私は着替えて更衣室を掃除する。
そう。
そして、綺麗好きなのだ。
「ん~若さだけの怠け者~」
になるわけにはいかない!
私は今日も大好きな歌を口ずさみながら、拭き掃除をする手に力を込めた。
「プール内に異物ないか、見てきまーす!」
「はーい、お願いね」
スタッフフロアに声をかけて、プールサイドを歩く。
私はこの時間が一番好きだ。
誰もいないこの空間。たった1人でこの広いプールを泳ぐことが出来る。
水深の深い所で異物が落ちていないかの確認。
私はいつも率先して希望を出した。
この日も、いつも通りやり遂げるはずだった。
「ん?」
着ていたパーカーを脱ぎ、水着になる。
その時、スルリとポケットから何かが落ちた。
げっ!
と思う間もなく、カシャン……と落ちたかと思ったらなぜか反動でピョンと飛んだ。
ぽちゃん……。
プール内に落ちた。
………落ちた。
「あ゙あああああああーー!!!!」
私のスマホーーー!!!
手遅れなはずなのに、この時の私は冷静さを失っていた。
バシャン!とその場からプールに飛び込む。
こんな入り方はしちゃあいけない。
いつもならしない。
でも………!!!スマホはだめだ!!救わなくては………!!!
スマホには私の大事な……大事な“柳宿フォルダ”が入っているのだ!!
どこ……!どこにある!?
まだ引き上げれば損害はないかもしれない!
いや、もしかしたらもう……ふと、よぎる最悪な事態。
いやだあ!!諦められない!!私の活力!!あの神的画像を失うなんて……私の生命に関わってくる!
無我夢中で探した。
ぽちゃん、と落ちただけなのに何故ない!?
その時、前方に紅い羽根が目に入った。
ここは水の中。
それなのに、目の前に………大きな鳥がいた。
うそ~ん………。
ぽかん、と口を開けた瞬間、ごぼっ!と空気が逃げて慌てて口を押さえた。
これは一体なんなのだろう。
目をどれだけ見開いても、目の前にいることには変わりない。
むしろその脚……綺麗に両脚を閉じて立つ脚の下に私のスマホがある。
「あっ……!!ごぼぼぼぼ……!!」
ああ、私の空気……!!
いけない。とりあえず一度空気を……吸いに上がらなければ!
水面に上がろうとした。
それなのに……こういう時に限ってそれは起こる。
痛っ………!
足が………つってしまった。
空気が足りない。足の痛みが半端ない。
つったときの対処法も知っているはずなのに、なぜそれが今はできない?
慌てる私の前に、紅い鳥が近づいてくる。
ひぃーーー!!
ここにきて、ホラーか!怖い……それは怖い!
慌てふためく私に、鳥は両羽を広げた。
ーー巫女の……力に……
ーー巫女を、助け……よ………
え………?今、どこからか声がした……。
だ、だめだ……息、が……。
普通なら声を聞いただけでもゾッとしただろう。
でも、それが出来なかった。
私の意識がなくなるとともに、紅い鳥が私を包み込んだ。
そして、その鳥が紅く光る。
光がなくなると、鳥もスマホも私も消えていた。