ふしぎラビリンス4~与えられた力~
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「なんや、今のは……」
「え?何が?」
壁に手をついたまま、そぉっと後ろを振り向く。翼宿も片手だけ壁につき、私の行く手を阻んでいた。
「こ、攻児さんまでいる……。拭かずに走ってきたの?めっちゃ水、滴ってますが……」
「はあ……さすがにビビらすんやないで、南央」
「え?おにぎりの中身、聞いちゃダメだったとか?」
「そことちゃうわ!!」
えー、じゃあ、どれ………。
「あっ!!勝手に服を畳んだのがダメ……」
「あれもお前やったんか!!」
「っ……近くで怒鳴らないでよ……うるさ……」
「なんやとーー!?」
くーっ……ホントうるさいし。
しかも、さっきから首と背中にポタポタ水がかかってるんですけど。
「じゃあ、何がダメだったんだよ!!もう、どいてくれない!?」
「風呂場に入ってきたやろが!!」
「……………それが?」
「あかん、幻狼。これ、今日だけやないで、きっと」
「………旺牙!!旺牙はどこや!!」
!?
な、なんだって旺牙を……!?
翼宿が叫ぶとすかさず旺牙は現れる。
……こいつ、忍者か。
「頭……それは……どないされたんです?」
まだ濡れそぼっている髪のままで、私との距離を縮めている姿を見た旺牙が、珍しく動揺する。
「どないもこないもあるか!こいつ、風呂場に入ってきたんや!!」
「………………」
翼宿がそれを言うと、それはそれは物凄く軽蔑の眼差しで旺牙に見られた。
「……また……あんたはド阿呆や………あれほど言うたのに」
「……!!」
今それを言わないで欲しい。
それくらい、私にもわかるぞ!?
「また、やと……?」
「ほらな、やっぱりやった」
真横に置かれた手が、今までは開いたままだったのに、今はギリギリと拳に握り締められている。
お、怒ってる。これは確実に怒っている。
なぜだかわからないけど!!
「おのれは……こっちがどんだけ気ィ使うてると……」
「は?」
「お前は!女やろうがーー!」
あまりの剣幕に肩が震えた。
こ、こわっ……。なん……何だって言うのさ……。
「だったら何だ!私が何を頼んだって!?ええ!?」
「なん……なんやと……」
「頭……そいつ、斬ってもええですか……」
「おいおい、旺牙……あかんて、それは」
「攻児はん、止めんといてください。頭のお気持ちを汲めへんやつ、いらんですわ」
なん……だって言うんだ。
後ろには歯を食いしばって私を見る翼宿。
旺牙も今まさに、脇に差している剣に手をかける。
それを攻児が止めている。
「私が、何したから……そんなに怒るんだよ……」
「………お前……男、バカにすんのもほどほどにしいや」
「別にバカになんてしてない……」
「せやったらなんや思てんねん。お前とはちゃうねんぞ」
私とは違う。そんなのはわかってる。
嫌というほど。
だけど……だからって何をそんなに気にする必要がある?
「男なんて……みんなお父さんと一緒じゃん」
「「「!!!!!」」」
あ、翼宿が離れた。
いや、なんかヨロッとしてない?
「お、おとん、やて……?」
「おとん……と同じ……おとんと……」
「……………」
あれ、攻児の顔も引きつってる。
旺牙も顔を背けて、額に手を当てている。
「え、なに?」
「なんや今、グサッときたわ……」
「オレもや、幻狼。挫けそうやで」
何がだ、何が!!
「と、とにかくや!今後、風呂に入ってくんなや!!」
「えー……」
「えー、やあらへん!!」
むぅ……。
これは絶対、めんどくさくなる。
「オレらはお前のおとんとちゃうんやぞ!」
「そりゃわかるけど……私もあんたらのおかんじゃないし」
「せやろ!?ほんなら、わかったな!?」
「あー………」
正直、よくわからない。
ただ……ここで言い返しても意味はないとみた。
「あ、うん。わかったー」
「「(絶対うそやな)」」
「お前、男に惚れたことなんてあらへんのやろ」
「は?」
旺牙がぼそりと呟く。
何を言い出したかと思ったら、惚れたことがない、だと?
「あるわけないな」
「せや。あったらもちっと女らしゅうするやろ」
おいおいおい、どう言う意味だ、それは。
「ふっ、バカにしないでよ」
そうとも。バカにしちゃあ、いけないよ。
「私、好きな人いるし!」
そりゃあもう長年ね!
……2次元だけど。
「それに、この世界に、いるし!!」
……もうお亡くなりになられてますけれど……。
ああ、ツライ。
それでも、私の発言は衝撃だったようで。
ちょっと、翼宿に攻児さん。驚きすぎだよ。
声にも出すことも出来ずに面白いくらいに驚いていた。