ふしぎラビリンス4~与えられた力~
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「え?明日から栄陽に?紅南国の都だっけ?」
「せや。なんでも、気色の悪いもんが出てきよるらしい」
気色悪いもの……。
それはとうとうアレが出てきたと言うことなのだろうか。
にしても都……。う、羨ましい。
「それをオレと幻狼で確認してこよ思てな」
「そないでしたか」
「明後日には戻るやろ。それまでこの山、お前らに任せるで」
「頭……任せといてください!命に変えても……」
「ああわかったわかった。旺牙は相変わらず大袈裟なやっちゃなあ」
見てて思う。
旺牙は、翼宿と攻児が好きだ。すごく尊敬してるし、いつも気にかけてる。
今だってこの山を任されると言われて、僅かだが嬉しそうだ。
……おお。
私も旺牙の表情が掴めるようになったか。
その日の晩、私はせっせと下準備に取り掛かった。
明日、ここを出発する彼らに持たせてあげよう。
あれ、おにぎりの中には何を入れようか。
鮭?昆布?いや、塩か?運良く、どれもある。
「………今のうちに聞いとこ」
せっかくなら好きなものを入れてあげたい。
さて、今どこにいるだろうか。
「あ、頭と副頭、どこにいるかわかるー?」
とりあえず近くにいたお仲間さんに声をかける。
すぐに「風呂とちゃいますか?」と返事が返ってきた。
なんだ、風呂か。掃除していてよかった。
私は足取りも軽やかに、風呂場へと向かった。
脱衣場。
確かに2人分の服が置いてある。いや、脱ぎ散らかしてある。
「……せめて棚に置こうよ」
仕方なしにパパッと服を畳む。
「でかい……」
手にした翼宿の上着が手を上に挙げても裾が下につきそうだ。
くっそ……男ってだけでこの長身ゲットしやがって……羨ましすぎる。
それもパパッと畳んで、私は浴場へと続く扉を開けた。
「翼宿、攻児さん、います?」
中はすっかり湯気ばかり。
ヒタヒタと素足で中に入っていけば、やっとその姿がうっすら見えてきた。
「おー、なん………なんや!?」
「ねぇ、おにぎりの中って何がいい?」
「………はあ!?」
湯船の中でバシャッと音を立てて翼宿が下がる。私は間を取られた翼宿の前にしゃがみこんだ。
「おにぎりの中身!鮭?昆布?いっそ塩?どれ!!?」
「………し、塩……」
「あ、塩か。了解!攻児さんは!?」
「へっ?あー……」
くるっと振り向けば、ビクッと体を強ばらせた。もはや硬直していると言ってもいいかもしれない。
「どれが好きですか?」
「さ、鮭……やろか……?」
「鮭ですね!あー、スッキリした!それじゃ、お風呂ごゆっくり!」
「……………」
「……………」
これで気持ちよく寝れる。
ペタペタと足取りも更に軽くして、風呂場をあとにした。
「っ~~……!!おらァァ!!!今のはなんじゃーーー!!!」
「……オレ、体洗っとったんやねんけど……ケツ、出とるねんけんど……」
「南央ーーー!!待たんかい、ワレェェ!!!」
おわっ!何?
なんなのさ。こういう時はさっさと、ずらかろう。
だけど、部屋に入る瞬間、ダンっと壁際に押しやられれば背後にポタポタと、まだ完全に拭ききれていない翼宿がそびえ立っていた。
えー……私、なんかした?