ふしぎラビリンス4~与えられた力~
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……夢だな。
うん、夢の中で夢見ちゃったよ。
目の前に佇む鳥から目線を外した。
どうしようか、この状況。声を、かけるべきなのか?いや、そもそも話せるのだろうか。
なんせ……相手は鳥の姿だ。
でもその鳥は、すぐに私に話しかけてきた。
直接、頭に響いてくる。
ーー我が巫者(ふしゃ)よ。
“ふしゃ”?何それ。
ーー我が巫女の助けとなれ……。
またそれか。やっぱりそれが目的?
「ねえ、聞きたいんだけど……なんで私なのさ」
ずっと疑問だった。
泳ぐことや、生活面では多少なりとも自身はある。
でも戦うという面では無力だ。手助けができるとも思えない。
それなのになぜ……。
「教えてよ。なんで私を呼び寄せたの?」
ーー愛だ。
「愛?」
ーーそなたの愛が、ここに詰まっている。この愛の力で、我は実体となれている。
そう言って鳥は頭を下に向ける。その動きをおって鳥の足元を見る。
「私のスマホ!!」
もうあえないと思っていたスマホが今、鳥から人の姿になった朱雀の足元にある。
人になった驚きよりもスマホを踏みつけている方に驚いた。
「ちょっ……踏むなよ!大事なもんなんだから!」
ーーよいか、これを失うな。そして……。
ーー我の力を与える代わりに、巫女を……。
「力?なに、何かくれるの?」
願ってもいない。貰えるものなら貰いたい!
ーーもう授けている。
ーー3つの契約を以て、その力は己の力となろう……。
「3つの、契約?」
なんか恐ろしいな。
「何をどう契約するの?力って何が手に入るの?」
ーー契約は唇を媒体にし、力はその者の最も秀でたものをその身に宿す。
唇を媒体?最も秀でたもの?
唇の媒体が3つ?
3つの、唇?3回の……キスか!!
「ちょっ……攻児としたやつ!?」
朱雀は頷いた。
いや、そんな優雅に頷いてる場合じゃないから!
「じゃあ、力って……その人の得意としてることを、コピーするってこと!?」
これにも朱雀は小さく頷く。コピーって意味、わかったのかな。
ーー写し取ることは容易(たやす)い。だが……体は受け入れるには対価がいる。
「対価……?」
この時の私は、察しが良かった。
「攻児の剣の腕は写し取れるけれど、体はそのまま。だから耐えることが出来ない。そういう事か……」
あの腕の痛みは、筋肉の悲鳴だった。
自分には到底出来ない速さで動いた。
普通なら到底、受け止めることの出来ない旺牙の剣を受けた。
剣の稽古をしたことのない私の腕が耐えられるはずがない。
「力を写し取っても……これじゃ使いもんにならないよ……」
私はぽつりと呟いた。
朱雀はス、と手を伸ばしてくる。
ーー巫女を……私の巫女を、頼む……。
そう言うと、彼はスゥと消えた。