ふしぎラビリンス4~与えられた力~
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「で?ガン首揃えてどないしたんや」
翼宿が手ぬぐいで上半身を拭きあげながら聞いてきた。
旺牙は私を翼宿の前に突き出す。
「わっ、なに!?」
「こいつ、ど素人とちゃいます」
「なんやて?」
「素人とちゃう?どういう事や?」
旺牙の言葉に翼宿も攻児も怪訝な顔になる。
「俺にこれ、つけたんはこいつです」
「「!!」」
「え、なに?」
そう言って旺牙が指した所は本人の頬で。私は見上げることになった。
「なー!怪我してんじゃん!いつの間に!?」
「……あんたがしたんや……」
「私!?」
そこには紛れもなく左頬に一本の赤い線。それが横にスッと出来ていた。
先程、私が踏み込んだ際につけられたものだと、旺牙は主張した。
「お前が一太刀浴びせたんか……?」
「えっ?」
翼宿がマジマジと私を見てくる。体を拭いていたことすら忘れてしまうほどに。
「旺牙が……?雨、いや嵐にでもなるんやない?」
「え、嵐っ!?」
攻児の呟きに驚く。
な、なんだよ……なんだって言うのさ。
「言うたやろ?こいつはこの山でいっちゃん腕が立つんや。こいつの血ぃ見たの久しぶりやわ」
「……え、そんなに……?」
えー、もう意味わかんないんですけど。
「俺も油断はしとったんです。斬りかかってくるとは……せやけどそれだけやのうて」
旺牙が私と、攻児をそれぞれジッと見た。
「太刀筋が……攻児はんと同じなんですわ」
…………ん?
「なんやて?」
「オレと、同じ?……意味わからん。ちょお、説明して」
同感。
今、確実にここにいる旺牙以外の3人は、ぽかーんとした顔だ。
「俺もようんからんのです。せやけど……間違えようもないですわ」
呆気に取られた。いや、正確には私だけ。
今も意味がわからない私とは2人は違った。旺牙と私を見て、翼宿と攻児は目を合わせた。
「どない思う?幻狼」
「旺牙が言うんや。お前の型の癖くらいわかるやろ」
「オレ、南央に教えとらんで?」
「そないなことくらいわかっとるわ」
ちょっと話進めんなよ。置いてかないでー。
「あ、あああの!つまりは、どういう事?」
「知るかい!!」
「オレらが知りたいことやで。なんでオレと同じなん?」
見事なツッコミが瞬時に帰ってきた。
聞かれたからと言って答えられない。剣を手にしてマジマジと見る。
一体、どうしたというのだろう。
剣なんて……扱ったことなんてないのに。
「ほんなら、もう一度、試すんがええですか?」
「お、旺牙……?」
「構えろ」
「いやいや!待って!ほんと、もう次は無理だよ!まぐれだって!」
「まぐれでやられてたまるか」
まっずいね!これ!プライド傷つけちゃったのかな!?
翼宿も攻児も見ているだけ。旺牙は気にせずするりと剣を抜く。
「ちょ、……むりだってー!」
なのにどうして手が、体が動く!?
またさっきみたいに制御できず受けるのだろうか。
でも今度は剣と剣がぶつかり合う前に、ビリビリと腕に痛みが走ってきた。
カシャンと剣が手から落ち、床に転がった。
私の頭に剣が振り下ろされる前に旺牙はピタリ止めた。
「はぁっ…はぁっ……」
頭を勝ち割られるかと思った……。
遠慮がない。怖すぎる……!
「いっ…………」
右腕に強烈な痛みがもう一度走って押さえつけるように握りしめた。
「どないした!?」
翼宿が押さえていた腕に触れてきた。途端に痛みが強くなる。
「うっ……さ、触らないで!」
「っ!?」
右手がガタガタと震える。
なんだ?今までのツケが一気に襲ってきたかのような感覚。
思わず膝を床につき、息を上げて耐えた。
「一体、どないしたんや!」
翼宿の声が聞こえたと同時に、痛みに耐えられなくて、私は倒れ込んだ。そしてついに、意識を手放した。
そうすることで、痛みを感じなくて済んだ。
と同時に私は夢を見たようだ。
目の前に紅く輝く羽を持った、大きな鳥。
朱雀がいた。