ふしぎロマンス11~キスの嵐~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「俺の記憶だと今頃、井宿が心宿に化けて美朱ちゃんを救ってると思うんだけど違ったかな」
「透くん、すごい!よく覚えてるね!」
「そりゃ……話ができるように、何回も読み込んだから……って、奏多!?大丈夫?」
必死について行ってたものの、やはり私の足は遅いわけで。
ゼェゼェと人一倍走ったかのような息遣いは立派なくせに、透くんからどんどん引き離されていった。
「奏多、走るの苦手だったね」
「運動能力は平均以下なの……でも私は特別下手って訳じゃなくて」
「それが普通だよね」
あぁ、透くんの優しさと気遣いが身にしみる。
そうなの。これが普通なの。皆が異常なの。
「俺、この世界に来て腹筋割れたよ。弓の腕前もまた重宝されるとは思ってなかった」
「わ、私も!」
「またこうして……過ごせるとも思ってなかったよ……」
「透くん……」
「さ、急ごう。手を」
そう言われて差し出された手を取った。
「いた。やっぱりここだった。落ち合うはずだった……木……」
たどり着いた時には美朱は気を失い、鬼宿と翼宿がすでに拳を交えていた。
「翼宿!!」
「!?お前……無事やったんやな!?」
「余所見してると……死ぬぜ?」
「どわっ……!」
鬼宿がすかさず蹴りを入れる。
腕で咄嗟に防御するも翼宿は木に思いっきり背中から叩きつけられた。木が割れてしまうほどの威力だなんて信じられるだろうか。
「奏多!」
声がして振り向くと、美朱を支える井宿が座り込んでいた。駆け寄って美朱の腕を確認する。
「井宿。美朱の腕を再生してみる」
「頼むのだ」
服を脱がそうにも制服は脱がしにくかった。
腕を捲ろうにも上がりにくい。
何か切れるもの……と思っていたら、透が近寄ってきて、美朱の袖に触れた。
パァンッ
一瞬にして袖がはじけ飛ぶ。
破壊。これが彼の力……。
「壊したのは腕の服だけ。治してあげて」
「う、ん……ありがとう」
優しく腕を両手で触れる。
か細い腕が、赤のような紫のような……とても変な色をして腫れ上がっていた。
唇をつけれるように身を屈め、そっと触れた。
ポゥと光輝くものの暫くしないと腕の骨を再生出来なかった。
早く、治って。後ろで戦う声を聞くと気が焦る。
光が消え、目を開けると腕の赤みは残ってはいたが腫れは引いていた。服も元通りに再生した。
ふっ、と美朱の意識が戻る。
「美朱ちゃん!?」
「奏多、さん……」
腕を動かしてみてもらう。あぁ、よかった。動いてる。痛みもないようだ。
「ッ……鬼宿!?」
美朱が戦っている鬼宿と翼宿に目が行くと、今にも駆け出しそうになる。
「美朱ちゃん!待つのだ!!」
美朱は井宿の一瞬の隙をついて腕から抜け出した。
「や、やめて!翼宿ー!!」
「美朱!?気ィついたんか!」
「お願い!鬼宿を殺さないで!!」
「美朱ちゃん!ダメ!戻って!」
突然、目の前にフラッシュバックのように映し出された光景が頭をよぎる。
これだ……。この光景だ。よく見ていた夢。
早く……行かないと!
「お願い……やめてーーっ!!」
翼宿を止めようと美朱は駆け寄る。鬼宿はもうまさに今、翼宿にヌンチャクを振りかざそうとしていた。
「だめッ!!」
美朱が翼宿に抱きつく。その2人を……私は思い切り突き飛ばした。
ドガッ……!!
鈍い音……こんな音は過去に聞いたことがなかった。続いて、じと……と背中に熱いものが伝う。
あぁ、赤く染まるのって私の体だったのか。
その場に崩れると、一度ヒュゥ……と変な呼吸音がした。
「「奏多!!!」」
名前を呼ばれた気がした。
変な呼吸音は続く。どこをやられたのだろうか。
鬼宿は一瞬、戸惑いの表情を浮かべた。
「何、助けとんねん……お前がやられてどないすんねん!」
「奏多さん!!!」
「……み、あか……」
「井宿!早う連れてけ!!」
「美朱!立つのだ!奏多はオイラが運ぶ。早く離れるのだ!」
翼宿は鬼宿を引きつける。
その手にはもう、ハリセンが持たれていなかった。
美朱の願いを聞き入れ、一切、攻撃することなく防御に徹する。
井宿がその場を離れようとした瞬間、雷のようなものが私達を襲う。
井宿は咄嗟に美朱を掴み、避ける。その際、私はそこに取り残されてしまった。