ふしぎロマンス11~キスの嵐~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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透に手を引かれて連れていかれたところには……まさかの鬼宿がいた。全身が黒い服に包まれていて、額には青いはちまきをしている。
「鬼宿が君に会いたがっている」
「え……?」
透の言葉に、鬼宿を見る。
鬼宿……なんだろうか。私の知る、鬼宿?
「…………フッ」
……違う。
鬼宿はこんな不敵な笑みを、向けたりしない。
「透くん、鬼宿は……」
もう変わってしまった。
そう言おうとしたのに、腕を強く引っ張られた。
すぐに腰が引き寄せられ鬼宿に抱きしめられていると気づいた。
「たまほ……ッ」
見上げれば、それはいきなり襲ってきた。
目の前に大きくなる鬼宿の顔に、目を見張り身構えた。
「っ……!?」
え?
なに……何が起こった?
チュ……
ん!?こ、これは……!
「鬼宿!!」
後ろで透の声が聞こえる。
振り返ろうと、振りほどこうとしてもがっちりホールドされてしまって動けない。
固く閉ざした唇を舐め取られる。
ゾクッとした瞬間うっすら開いた唇に、割って入ってくる生暖かい感触。
拒もうとジタバタしても鬼宿の両腕は離れることを許してくれない。
「ん……ッ……やッ………!」
合間合間に抵抗の声を出すも舌を絡め取られ、歯列をなぞられた。
これは……ちょっと……!
「鬼宿!話が違う!やめろ!」
透くん……!
さすがに嫌悪が沸き起こる。逃げようと首を降れば執拗に追いかけて唇を吸う。
や、ばい……。
足にも力が入らなくなって、それがカクンッとなった時あたりは風に包まれた。
「いい加減にしろ。それ以上は……許さないよ。鬼宿」
透のまわりを緩やかな風が吹き始める。それを見て、鬼宿がようやく唇を離した。
力が入らなくなった体を鬼宿が支えて、顎を持ち上げられる。
「へぇ……オレに感じたのか?」
「ッ……違う!!」
断じて違うといいたい!!
「……鬼宿、あんた何すんのよ……」
「したかったからした。悪いのか?」
「そんな人じゃないでしょう!?」
「オレの何を知ってるってンだ」
「鬼宿……」
わかっていたけど、こうも変わってしまった鬼宿を目の当たりにすると動揺を隠せない。
優しくて、正義感の強い、愛した人をずっと守り抜く……それが鬼宿なのに。
「すぐに朱雀の巫女を殺して続きしてやるよ。待ってな」
「!?」
鬼宿が部屋から出ていこうとする。
まずい……美朱に会わせてなるものか!
「やめて!鬼宿……!」
「触るな!オレに気がねェのに触んじゃねェ」
「!」
なぜ……こんなことに……。
触れようとした手を弾かれた。ジンジンと痛むその手を握りしめ、ツンと鼻が痛くなるのをひたすら我慢した。
「蠱毒を飲まされたはずなのに、君が好き……?」
「…………」
やだ!透くんがいるんだった!!
「あ、あの……透くん」
「どうして彼に……」
「わからないわ」
「この世界の人とは付き合えないって、知ってるよね」
「も、もちろん!ありえないわ!鬼宿には美朱ちゃんだもの!」
「でもあれは……君に惚れているよ。知らなかった?」
知らなかったわけではない。
その思いを透は私の表情で読み取った。
「なんてことに……これは想定外だったな」
「美朱ちゃんへの気持ちに気づいたみたいだったから……」
「気持ちの奥底に眠ってたのか……」
「え?」
「君のこと、本気だったのかもしれない」
透くんは何を言ってるの?
鬼宿が……?私を本気で?
「幾つ年の差があると……!」
「男にそれは関係ないよ」
「でも美朱がいるのよ!?美朱のことだって……」
「美朱ちゃんも好きなんだよ。でも……君のことを好きだったのも、また事実なんだよ」
「…………二股!?」
「そ……それを言われちゃうとなー……」
「だって……!」
信じられない。
美朱一筋な彼なはずなのに、私はなんてことをしてしまったのだろう。
「でもまずいな。美朱ちゃんにはつらい現実だ。それに……」
そこで2人して顔を見合わせる。
そうだ。このまま鬼宿が美朱と会ったら……。
「美朱ちゃんが危ないわ!透くん!!」
透は私に頷いてみせた。きっと、透は味方だ。やっぱり優しい透だ。
そう感じて部屋を出ようとすると、そこには心宿が待ち構えていた。