ふしぎロマンス11~キスの嵐~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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陽が暮れた。七星士、そして美朱と私が一同に揃う。
張宿が全員で鬼宿の元へいけないのかと聞くと、井宿が結界のことを話した。
「オレは行くで!!」
翼宿の声が響き渡る。ほらね、と井宿を見るとため息をついていた。
その間にすでに翼宿の肉まん作戦によって、美朱が承諾していた。
「翼宿……美朱のことわかってきたね」
「ふ。ちょろいで、こんなモン」
「翼宿の面倒までは見られないのだ。ついてくるなら……」
「言われんでもわかっとるわい!ほら、行くで!!」
井宿は自分の袈裟を広げる。そこに錫杖を突き立てると、すぐに翼宿を放り込んだ。
「それじゃ、行ってくるね!」
続いて美朱が入ったのを確認して、私も足を踏み入れる。
「だっ」
すぐに後ろから井宿の声が聞こえた。
降りるところは想像していた。やっぱり思っていたところだった。
「井宿!もーちょっとマシな場所はなかったのかな!?」
うん、美朱ちゃんに同感!
「……早く飛び降りよう……これ、絶対折れ……」
バキッ
あ~……言ったそばからぁ……
って、あれ?
「大丈夫なのだ?」
「大丈夫なわけあるかい!お前ら優雅に着地しおって!なんやねん!」
翼宿の言う通りだった。落ちると思った時には救いあげられて足からちゃんと着地した。
それもこれも、井宿が支えてくれたからだ。
「ありがと」
「大したことじゃないのだ」
「あれ!?軫宿の猫だ!」
美朱の声に振り向くと、猫がちょこんと座っている。そうか。一緒に付いてきて手伝ってくれるんだった。
「甘い匂いのする花の近くの巨木……猫ちゃんならわかるかも!」
美朱の提案で猫に匂いを探ってもらう。
それにしてもよく人間の言っていることがわかるすごい猫。
クンクンと嗅ぎながら犬のごとく進む猫についていく。暫くすると、大きな木が目の前に現れた。
鬼宿……大丈夫かな。
鬼宿を思ったその時、まさに鬼宿は唯の口付けによって、蠱毒(コドク)を飲まされていた。
結局変わらなかった未来に、私は絶望することになる。
遅い。無事なら約束通りもう来ててもいい頃なのに。
美朱も不安でたまらないのだろう。ぎゅっと手を握りしめ、祈っていた。
「……来る」
井宿の声と共に私の知る未来になったのだと知った。木々の茂みから唯と心宿、そして……透。多くの兵も現れた。
「透くん……」
透は悲しく首を降った。
ああ、うまく行かなかったんだ。鬼宿は……もう……。
「奏多!美朱と下がっとれ!!烈火、神焔!!」
翼宿がハリセンを振るう。でも炎は一瞬上がるもののすぐに鎮火された。
「へ!?何でや!?」
「貴様が翼宿か。残念だったな。貴様達の術は封じ込めさせてもらった」
心宿が手を下そうとする所を唯がやめさせる。
ほら、言葉ではきついことを言ってるけれど、結局は美朱を助けてる。どうしてそれに気づかないの?
心宿が牢に連れて行くように命じる。美朱が動き出す前に、私は弓を構えた。
「動くな。その娘、射るよ」
一瞬でもいい。一瞬でも隙を作れば何かが変わるかもしれない。
「愚かな」
心宿が手を上げると、弓が吹き飛ぶ。でもその隙に井宿が翼宿を連れて消えた。
……どうせなら美朱も連れてってよ!!
すでに美朱は兵に取り押さえられている。私にも兵が2人つく。
「この人は放してください」
その時、凛とした声が響いた。透が私の腕を掴む兵を見据える。
「透様」
「俺と同じ黄龍の力を持ってる人だ。牢屋にいれられては困るな」
静かで、物腰は優しいというのに反論は許さない声だった。心宿が兵に命じると、私は解放された。
「透くん。私も美朱と一緒に牢に入れて」
「ダメ。君は、こっちに」
「透くん!」
「言うこと聞いて」
そっと手を握られる。離れようと試みるも、その握りしめてくる手の強さに驚いた。