ふしぎロマンス11~キスの嵐~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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お願い!!鬼宿の所へ……!!!
無我夢中で暗闇を走った。
願えばなんでもできると言った透の言葉の通り、走った先に……驚く鬼宿の姿があった。
「ハァッ……ハァ……たま、ほめ……?」
「奏多……?」
膝に手をつき呼吸を整えると、ゆっくり近づいた。鬼宿は床に座り込んでいる。その前に膝をつき視線を合わせた。
「鬼宿……大丈夫?」
「お前、どうやってここに……これも、夢か?」
手が頬に触れようと伸びる。じっとしてると、コトン……と部屋の外で聞こえた。
「……唯か……避けられてるな……」
鬼宿が部屋の外に目を向け、呟く。何かすでに2人にあったようだ。
「鬼宿。美朱とは会った?私には夢なんだけど、あなたに伝えたいことがある」
「なんだって?」
「美朱とは明日の0時に会うのよね」
「あ、あぁ」
「気をつけて。唯はもう追い詰められてるの」
「唯……」
「だから唯からもらったものは何も口に……」
しないでと言おうとした瞬間、ビリビリと体中に感じる痛みに体が竦み上がる。
「ッ……な、なにっ……!?」
「奏多?どうした!?」
「痛……ッ……わからない……ッ」
これは何?自分で体を抱きしめ、鬼宿から離れる。
なんだかここから無理やり引き剥がされている気がする。
「た、鬼宿!」
「奏多!!」
「気をつけて!絶対よ!」
スゥ、と鬼宿が遠くに行く。いや、私が暗闇の中に引っ張られているのだ。
鬼宿の部屋から暗闇に入る前に、念じている心宿が目に入る。心宿が結界を強めてる?明日に備えて?
それとも、私に気がついて?
真意はわからないけれど、あたりは一瞬で漆黒の闇になった。
目を開けると自分の部屋だった。眠りについた時のままだ。
まだ夜は明けていない。やはり私は夢をただ見ていただけなのだろうか。
「どこに行っていたのだ」
「わっ!!」
心臓がこれでもかと言うくらい驚いた。自分しかいないと思っていたのに急に声がするなんて、ホラー展開すぎる。
ドキドキする心臓を押さえながら、声のする方にそろりと目を向けた。
「井宿!びっくりするじゃない!なんなの!?」
「それはこちらの台詞なのだ。どこに行っていたのだ」
2度も同じことを聞かれた。
どこに、だなんて……私のこの状況を見ればここで寝ていたことは確実。
なのにその声で、そしてその険しい表情を見れば、井宿には私が何をしてきたのかわかっているはず。
わかっているのに言わせる気なんだ。
「最近の井宿、性格歪んでない……?」
「……ハァ」
「ちょっと!思いっきりため息つかないでよ!!」
井宿が額に手を当てる。めちゃくちゃ呆れられているようだ。
「君はもう少しで帰れなくなるところだったのだ」
「……………え?」
「よくわかりもしないで迂闊に行動しないで欲しいのだ」
「どういうこと?」
井宿は教えてくれた。
自分の術、瞬間移動と似てる気配がするから来てみた、と。
中に入ってみれば私は寝ていて、だけど実体はあるのに中身がない状態で。一体、意識はどこに行ったのかと探ってみても気配がない。
焦り始めた頃に、いきなり苦しみ出したという。
「戻せるかわからなかったが……試したら戻ってきたのだ」
「井宿が戻してくれたの?」
ただ聞いただけだったのに、井宿は、フイ……と視線を逸らした。
「……あまり夢の中を移動しようと思うな、なのだ」
「無意識だもの……。今回は願ったけど」
「夢はいつも、心のどこかで願っているから見るものなのだ。だから……願わなければ見ない」
無意識なものを、どうやってコントロール出来るのだろうか。今だって無意識で唇に触れる。
「ど、どうしたのだっ?」
「え?何が?」
「…………」
「え?」
井宿が動揺している。とても珍しい。
「何でもないのだ。まだ夜明けには時間があるのだ。もう少し休んでおくといい」
矢継ぎ早にそう言うと井宿は部屋を出ていった。
え?
変なの。
また寝れるのだろうか、と思っていたけれどゴソゴソとベッドに入ると、思いのほかすんなり眠りにつけた。
どうやら相当気を張っていたようだ。