ふしぎロマンス11~キスの嵐~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「どっひゃー!なんやごっつええモンばっかやんけー!」
「ほんとー!久しぶりの、美味しいごはんっ、モグモグ、おいしー!」
「あー!!!美朱!なにオレの分まで食っとんのや!」
鬼宿と打ち合わせをした美朱はとても嬉しそうだった。
たったひと目、顔を見ただけでこの表情。実際に会える明日はとても楽しみだろう。
明日の夜……鬼宿は、鬼宿でなくなる……。
私の記憶するこの世界のこと。
これはよく覚えてる。美朱も……翼宿も……傷つく。
なのに、私は……、
これから何をしたらいいのかわからない……!!
「奏多、あんた手、握りすぎ」
「……ッ……」
「なーんて顔してるのよ。あんた、その顔、美朱に見せるんじゃないわよ」
「柳宿……」
一体全体、私はどんな顔をしてたのだろう。
柳宿に眉間をツンとされてしまうほど、シワが寄ってたのだろうか。
「あの子、とっても幸せそうじゃない。明日のことなんて、明日になってから考えたらいいのよ」
「それで、いいの?私が話せたら……」
「あんたに聞いたからって、何かが変わるとも思えないのよ。それよりも、」
柳宿が私の手に、自分の手を重ねて力を込める。
「奏多が無茶しないこと。あんたは女の子なんだから」
また、女の“子”扱いに笑いが込み上げる。
柳宿の方がかわいい、と言えば、「バカね」と笑い返された。
「あんたとあたしは違うわよ」
そういえば柳宿は最近、煌びやかな服を着てない。
髪だって最初は下ろしていたのに、今は一つに編んでいるだけだ。
七星としてのけじめ……?それとも、何か柳宿の中でも変わりつつあるのだろうか。
「今日は早く湯に浸かって、ちゃっちゃと寝ちゃいなさい。明日に備えないと」
「……寝る………そうよ!」
「奏多?」
そうだ、どうして思いつかなかったんだろう!
夢で鬼宿に会えたじゃないの!
「柳宿!私、寝るね!」
「え?……いくら何でも早くない?」
今もなお、食事をしているみんなを残して部屋に戻る。
そうだ。寝よう。寝たら何かわかるかもしれない。
お願い。
また鬼宿の様子を教えて。
私は初めて、夢を見たいと思った。
暗い部屋。
でもこれは夢だとわかる。ちゃんと鬼宿を見せてくれるんだろうか。
足を1歩踏み出してみる。真っ暗なのに歩けている。
大丈夫。
きっと進めば、また……会える。
「何をしに来たの」
いきなりポウ、と黄色く光った。
周りは真っ暗なのにそこだけ光る。
「ッ……透くん……!?」
「うん。奏多、また会えたね」
透はスッと立ち、こちらを見据えていた。
思わず1歩、後ろに下がる。
「警戒して欲しいわけじゃない。何もしないから……こちらに来て」
「ここは……」
「夢の中だよ」
「夢……」
物静かに言う透に違和感を覚えた。
彼は確かに感情を表に出すようなタイプではなかった。昔も今もうっすらと笑みを浮かべて、とても綺麗に微笑む人。
でもどうして……今日は彼が怖いと感じてしまう。
近寄れずにいると、透が逆に近づいてきた。
「会いたかった……奏多」
何もしない?
嘘だ。今、私は抱きしめられている。
「と、透くん!?」
「何故、鬼宿に会いに?四神天地書を奪いに来る気なの?」
「ッ……」
透は……気づいてる。
どうしよう。作戦がバレてる?
「奏多。ここは『ふしぎ遊戯』の世界。そうだよね」
今、この人は何を口にした?耳元で紡がれた言葉に、思考が停止した。
「透くん……なに、いって……」
「ごめん。俺……ほんとは知ってたんだ。この世界のこと」
知ってた?この世界が本の中のことを?