ふしぎロマンス1~本の中へ~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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全てのことを教えてもらい、問題の山を超えた頃にはすっかり夜も更けていた。
布団を2組並べて敷く。
早々に布団に入り込んだものの、爆睡はできなさそうだ。
「この世界……大変……布団……痛い」
まさかこの年になってまた、生きていく上で必要なことを一から教えてもらうことになるとは……。
しかもまだまだ、私の時代と違うところがありそうだ。
「君の世界は整いすぎてるのだ」
「そう……かもしれないね」
「眠そうな声なのだ」
「ふぁ……もう寝よっか。教えてくれてありがとね。うん……ほんと、いろいろありがとう」
「これも何かの縁なのだ。気にしないで休むのだ」
「そっか。また明日ね、井宿」
「だ。おやすみなのだ」
ゴロン、と井宿に背を向けるようにして反対を向く。
睡魔が一気に押し寄せてくる。
だけど……あとひとつだけ……。
「あ……」
「寝ないのだ?」
「寝るけど……名前」
「名前?」
「そろそろ名前で呼んでね。“きみ”じゃなくて」
意識を手放す前、井宿が「わかったのだ」と言うのが聞こえた。
私はそれに嬉しく思って、そのまま眠りの世界に落ちていった。
ーーー暗い。
ここは、どこだろう?
また違う世界に来たのだろうか。
いや、でも違う。
夢だ。
そう何故か確信した瞬間、前方が光り出す。
そこに浮かぶ人影。
だれ…………?
目を凝らしてみる。
暗いところに浮かぶ人影。
女の子のようだ。
するとまた、今度は女の子を囲むように7つの光。
暖かい。
すごく、その光たちは優しくて、いつまでも見ていたい光だった。
だけど、次の瞬間………
4つの光が一瞬で消えた。
ハッとする。
女の子は膝をつき、泣いているようだ。
思わず駆け寄る。
でも、走っても走っても……
近寄ることが出来ない。
手を伸ばしても、届かない。
苦しい
泣かないで
わたしが
まもるから
知らず知らずのうちに頬を涙が伝ったーーー。
「奏多……!」
「…………」
「起きるのだ!奏多!!」
ハッと目を開けると、目の前に井宿の顔があった。
「大丈夫なのだ!?」
あたりを見回すと、まだ布団の中だった。
「夢……?」
「うなされていたのだ」
「あ……」
ドッと倦怠感が襲いかかる。
額に手を当ててみると、少し汗もかいたようだ。
「大丈夫……少し夢に驚いただけ」
あれは……紛れもなく美朱と七星士の光。
一瞬で消えた光はきっと……
体を起こそうとすると井宿が背中に手を当て、起き上がるのを手伝ってくれる。
「はは……井宿、心配しすぎ」
「……オイラだってビックリしたのだ」
「そっか。ごめんね?」
こんな夢でうなされて、人に起こしてもらうなんて……初めてだ。
心臓がまだ早く脈を打っている。
「“まもるから”……か」
「だ?」
「ううん。なんでもない」
井宿は今も様子を伺うようにこちらを見ていた。
本当に、優しい人。
そう思うと同時に、迷惑をかけたくない、と思った。
何をどうやったら守れるというのか。
この世界では、井宿がいなければ生きていくのも難しいというのに……。