ふしぎロマンス10~哀しみの序曲~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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その晩は鬼宿の村に泊まった。
実家のすぐ近くに二部屋借りることができて、私は美朱と一緒に使うことになった。
「あれ?柳宿は?」
「やーね、いい?美朱、いくらあたしが美人だからって、一応はオトコの子よ?」
「とか言いつつ、星宿と同じ部屋で寝たいとかじゃないの~?」
「……まぁ、ないことも……ないわね」
柳宿の頬が赤くなる。
「ちょっと奏多!な~に笑ってンよの!」
「何でもないよ。ゆっくり休んでね」
「美朱、何かあったらすぐに呼ぶのだぞ」
「うん!」
美朱と2人になるのは久しぶりのような気がした。
「あ、コウモリ」
「え?」
美朱が歯を磨きながら窓の外を見る。
そばに寄って見ると、確かにコウモリを確認できる。
「み、美朱ちゃん……閉めるね」
そっと窓を閉める。
コウモリなんて出てくるのはあの時しかない。
「コウモリって人襲うかな?」
普通は襲わないもの、と柳宿が言っていたような気がする。今、柳宿は隣の部屋で聞くことは出来ないけれど。
その夜、美朱が寝入ったのを確認すると弓を片手に部屋を出た。
……え、これは……一体……。
部屋で休んでるはずじゃ……。
部屋の入口に星宿と翼宿が座り込んでいる。
出た所で目と目が合う。途端に翼宿が立ち上がりドスの効いた声を出した。
「おんどりゃー……しょーこりもなく……大人しゅう寝とけや」
「奏多!どこへ行く気なのだ?」
「あ……ちょっと、用足しに……」
「弓持ったまんまでかいな」
「…………」
星宿も何かに気づいたのか、顔色を変えて立ち上がる。これは素直に出させてはくれなさそうだ。
「星宿。こいつ撒こうとするさかい、気ぃつけろや」
「撒く?奏多がか?」
「軫宿ン時もそうやった。オレはもう、騙されへんぞ。今度はどこ行く気や!」
完全に警戒されている。
……困ったわね。
「翼宿……このままじゃ……美朱が危ないって言ったら通してくれる?」
「美朱が!?それはどういうことなのだ」
星宿が焦り出す。
「コウモリが……この家の周りにいる」
「なんやて?」
「襲うはずのないコウモリ。でも……コウモリを操れる者がいたら?」
「まさか操れる者など……」
「星宿。外に絶対に敵がいるはずなの。行かせて」
「それを聞いて、そなたを行かせられると思うか?」
「星宿!」
「翼宿。そなたはここに奏多といてくれ。私が外を見てこよう」
「それやったらオレが行くで」
「いや。私よりそなたが良さそうだ。私では奏多に不意をつかれて奏多を危険に晒しそうだからな」
星宿が踵を返して家から出ていこうとした時だった。今までいた、美朱が残っている部屋から悲鳴が聞こえる。
「美朱!!」
星宿が扉を勢いよく開ける。その声を聞きながら、私はすでに外へ続く扉へと走っていた。
窓を飛び越えるなんて、絶対できない!
星宿と翼宿が美朱を追って窓から出た所で私も合流する。
「奏多……!」
「早く!私は遅いから、早く行って!!」
星宿と翼宿が頷くと、速度を上げて美朱を追いかけた。
私も後を追う。でも……この周りに、いるんじゃないだろうか。刺客を、逆に狂わせる……あの人が。