ふしぎロマンス9~治癒~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「……こえ、出る……」
「そ、そうか!そら良かったやないか!」
治してもらえた……。
柳宿に不安じゃないのかと聞かれた時はそう思っていたけれど、思いのほか声が出ないというのは心に負担が大きかったようだ。
「治ったのならもう帰れ」
軫宿が再び心を閉ざす。
声は戻った。だったら……あとは彼を連れ出すだけ。
「……ありがとう」
声は思ったよりもすんなり喉を震わせた。
そして、ハッキリとした声で私は口にした。
「軫宿」
そう彼の名を呼ぶと、ゆっくり軫宿は向き直った。
「みつかけ?このオッサンの名前なんてよぅ、知っとったな?」
「……翼宿はほんと、七星に興味なかったのね」
私の言葉に2人が反応する。軫宿は“翼宿”と言う名に。翼宿は“七星”に。
「お前達は……」
「私は奏多。朱雀の巫女を護りたい者です。彼は翼宿。あなたと同じ朱雀七星士」
「ほ、ホンマかいな……」
「何故、俺が七星だと……」
「その話はあとでします。軫宿、あなた達の巫女は……今、少華さんと一緒にいます」
「!!」
“少華”と言う名前に大きく反応を見せた。
「今……“少華”と言ったか……?」
「信じられないかも知れないけれど……本当なの」
「そんな、バカな!少華は、一年前に死んだはずだ!!」
「は?それやったら今まで一緒におった少華は何モンやねん」
「翼宿。伝えたいことは伝えたから戻ろう」
「せやな!!」
まだ1日くらいの猶予はあるかもしれない。
本当なら明日、街の医者をあたるのだから。まだ、軫宿とは会わないはずなのだから。
家を出る時に、もう一度軫宿を見た。
「軫宿。私はあなたに救われた。ありがとう。でもあなたが助けてくれたのはただの気まぐれじゃないって思ってる。待ってるよ、少華さんも」
軫宿の苦しんだ過去は、私にはとても救えない。
癒すなんてことも、気持ちがわかるなんてことも簡単には出来ない。
それでも来てくれることを信じていた。
少華さんを救えるのは、軫宿しかいないのだから。