ふしぎロマンス9~治癒~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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……長い。
今向かっているところは紅南国ではないのだろうか。
「ちょっと、奏多。あんたさっきから何モゾモゾしてるのよ」
「いや……そのー………」
2頭の馬にそれぞれ2人ずつ乗馬していた。私は柳宿の前だ。でもどうにも居心地が悪い。
「奏多!いい加減にしなさいよ!?目の前でチラチラと……視界が遮られて目障りだわ!」
「ごめん、柳宿」
翼宿たちと分かれてからというもの、ずっと続く下腹部の痛み。
気のせいかとも思ったが、これはどうやらその時期になっていたようだ。
「!奏多、そなた、怪我をしたのか!?」
ふいにずっと横にいた星宿たちの馬が止まった。
柳宿もそれに習い、馬を止める。
「え、怪我!?どこ怪我してるのよ!」
怪我、と言われた原因を自分の服を見て納得する。
ほらやっぱり。
……完全に油断していた。
怪我ではない。
でも私の服、しかもお尻の部分が赤く色づいていた。
「ごめん。どこか、寄れるかしら」
「あ……あぁ、少し休むとしよう」
星宿の顔が少し赤い。私の身に起こっていることを、美朱から耳打ちされたのだろう。
少し行くと、川が流れているところに出た。
「ちょっと洗ってくるね」
「あ!あたしも行く!」
星宿と柳宿は川から見えないところにいるようだ。
美朱と共に川に近づく。
「奏多さん、大丈夫?」
「えぇ。毎月のことだしね」
そういえば、昔から大事な時に重なるタイプだった。
旅行という旅行では丸かぶり。試験の日も2日目丸かぶりと最悪だった。部活動の時だって、大切な大会の日に……。
私はいつだって本領発揮を出せなかった。
「この世界に来て困ることは生理用品が充実してない事だわ」
「あはっ!そうだねー」
服を脱ぎ、川の水で体を拭く。
冷たい。
まだ冷たい川の水には慣れない。
すぐに替えの服に腕を通した。
「手ぬぐいだけで……心もとないわ……」
「馬、乗れる?」
「うん。歩くよりはいいよ」
とはいえ、下腹部の痛みは徐々に増してくる。
ツキン、ツキンと地味に痛い。
正直、馬にも乗りたくはなかった。今すぐ布団の中で丸くなってお腹を温めたい。
「戻ろう、美朱ちゃん」
それでも留まることなんて出来ない。お腹を冷やさないように体を抱きしめた。
「奏多……もう大丈夫なのか?」
「うん、行けるよ」
「しかし……顔色が悪いが……」
「病気じゃないから……ね?」
笑ってみせるも星宿の顔は心配してます、と言わんばかりだ。
「星宿様。美朱はこちらに乗せますわ。馬の扱いは星宿様の方が長けていますから。私では馬が揺れてしまいますもの」
「揺れない方がよいものなのか?」
「きっと、お腹が痛いものか、と」
「そうなのか?奏多」
星宿が眉を下げて聞いてくる。
ほんとにもう……。
「ちょっとだけ、辛い日があるだけなの。明日になればマシになるから」
「そ、そうか……手を貸そう」
馬に乗るために、星宿が腰に触れる。
自力で上がる時に持ち上げてくれる。
「行くぞ。辛かったら言うのだぞ?」
「うん」
そろり、と馬が歩き出す。
ゆらゆら揺れる体を星宿が腰に腕を回して支えてくれた。
「あ……」
「ん?どうした?」
「星宿の腕があったかいから、少し楽になった」
そう言うと、耳元でクスリと笑う声が聞こえた。
「そうか。それはよかった」
馬の歩調は緩やかなもので、目的の地についた時には、日が沈みかけていた。
「こんな状態になっていたとは……」
私たちがついた張宏は、会う人会う人がぐったりとしていた。
辛うじて動ける人が台車に何人もの人を乗せ、慌ただしく運んでいる。
「美朱!これ見て!玉が……」
ら
柳宿が七星のヒントを教えてくれる玉を手にしている。
見るとそこには“癒”の文字が。
いる。
この地に、彼が。
途端、ふらりと立ちくらみがする。
やっぱり貧血気味になっている。
「奏多!……星宿様。奏多をどこかに休ませては……」
「あぁ。そうだな。泊まれるところはあるだろうか」
辺りを探し始めた時、美朱が誰かにぶつかる。
その相手を見た時、心臓がドキリとした。