ふしぎロマンス8~山賊~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「わけはわかったが……奏多、あまり危ないことをしてくれるな」
「ごめんね、星宿。放ってはおけなくて」
「でもどうやってハリセン奪うのよ。なんかすっごい火が出てくるのよ?アレ」
「柳宿、私の弓は?」
「ハイ!あたし持ってる!」
「わー!美朱ちゃん、ナイスー!」
美朱から弓具一式を受け取ると、背中に担いだ。
それを見ていた功児がマジマジと見てくる。
「ホンマ、弓なら扱えるんか……」
「どないしたんや、功児」
「さっきな、自分は戦闘能力は皆無や、言うてたんや」
「……ホンマかいな。面倒なやっちゃな」
コソコソと屋内を一列で歩く中、私たちはすぐに見つかった。……無理もない。目立つもの。
「おい!幻狼達がおったで!!」
「しもた!」
「ふっ…まかしとき!出てこい!狼……」
幻狼が、サッと呪符を投げつける。
ボワンッと煙が出るものの、そこには何も出てこなかった。
……あれ?
おかしいなぁ。
「も、もういっぺん……!!」
何枚もの呪符を投げる。
それでもやはり、煙は出るが何も出ない。
「なんでじゃー!!!!」
……あれぇ?
首を傾げていたところを翼宿に見られる。
あ、やば。
「さてはさっき呪符になんかしよったなー!」
「ご、ごめ……!きっとうまくいくと思ったんだけど……!」
「何してくれてんねん!!アホ!!」
怒鳴られている間に、近くを激しい炎が襲う。
「よう来たのう、幻狼。狼はもう出てけぇへんのか?」
見れば薄ら笑いを浮かべている睿けんがいる。
見れば見るほど、目を背けたくなる外見。もう少しこの人は身なりを整えるべきだ。
「さすがにまずいわねー。お仲間さんもたくさんいるわ」
「我々は戦えぬ。“翼宿”がいるかもしれん」
……翼宿はここ。と言いたいのに、見るとものすごく睨みつけてくる幻狼。言うなって目がいってる。
翼宿に気を向けている間に、美朱が睿けんに走りよった。しかも、ハリセンを自力で奪おうとしている。
しかし、相手は体の大きな男だ。
力で適うわけもなく、美朱は首を絞めあげられる。
「美朱!!」
星宿も柳宿も余計に手を出せなくなった。
しかたない。
キリリリリ…………
「な、なんや?こいつに当たってもええんか?」
「奏多、よせ!美朱がいる!」
星宿の気持ちもわかる。
でも、呪符が役に立ってくれないのなら……やるしかない。
そう思ったのが睿けんにも伝わったのだろう。
美朱を突き飛ばし、ハリセンをこちらに向かって振りかざした。
「奏多!!」
柳宿の声がすると共に引き寄せられる。
炎が生み出され、私目掛けて飛んでくる。だけどそれは私にまで届かなかった。
炎を自分の武器をくるくると回転させ、受け流している、井宿の姿があった。
井宿は、目の前に迫る炎を錫杖をくるくると回し、遠心力を使ってなぎ払っていく。
そして炎を防ぐ井宿の横で、数珠に手をかけ印を結ぶもう1人の井宿。
何か呟くように口にすると、すぐに周りにいる山賊が吹き飛ばされた。
皆が井宿の術に呆気になる中、美朱の前に、彼もまた現れた。
「た、鬼宿……?」
美朱の目がすぐに潤む。
あぁ、やっぱり成功していた。なぜか時差があったけど。
「ちょ……井宿が3人もいるんだけど……」
柳宿が私を腕の中に閉じ込めたまま、井宿を見て驚きの声を上げた。
「うん。呪符に書いたの。たくさん井宿がいたら有利だろうって。それから……“鬼宿”も」
「あんた……やるじゃない」
井宿が3人に鬼宿がいるこの状況。
こちらが不利になることは一瞬たりともなかった。
すぐに翼宿が動き、睿けんからハリセンを奪う。
「ちーっと遅かったな。ハリセンは返してもろたで」
睿けんにハリセンで一撃を食らわす。
次々と睿けんに手を貸していた山賊たちも“井宿”によって縛り上げられる。
見れば、美朱が鬼宿に抱きつこうとしていた。
その瞬間、ス……と消える。
何もそんな所で消えなくてもいいじゃないか。抱きしめさせてあげればいいじゃないか。
美朱は息を殺して泣いていた。
皆が佇む中、目の前に守りに徹していた“井宿”と目が合う。
さらに攻めに徹していた“井宿”の足元に3頭身の“井宿”が寄り添う。
「あれは完全にあんたの願望ね」
「あ、バレた?」
「バレバレよ」
「ふふ。かわいいのよ。あの姿」
3人の井宿を見つめると、彼らもス……と消えていった。