ふしぎロマンス8~山賊~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「あそこにおったもう1人の女が“朱雀の巫女”やて……?」
「幻狼……」
「本当なら、あなたが頭になるように力を貸したいところだけど、私はあなたが欲しいの」
「な、な……何言うてんのや」
私の言った“ほしい”の一言に翼宿が顔を紅潮させる。
深い意味は無いけれど、欲しいのは事実。
「だから、あなたが欲しいの!」
「わ、わかったからもう言うなや……」
「あのハリセンはあなたのもの。あなたの七星の力で最大級の力を発揮できるものよ」
あんなブ男に使わせられない。
「あのハリセン、取り返してあげる。だから、その後は一緒に来て欲しいの」
「……出来ん話や」
「翼宿!」
「オレは幻狼や!翼宿呼ぶなや!!」
翼宿は私に背を向けて立ち上がった。
もう話しかけるなと、言われているような気がした。
話してはまずかっただろうか。
今までは先のことを話そうとすると何かにつけて邪魔が入ったりと、話せなかった方が多い。
でも話ができたとしても、今回のように拒否られたら………。
「幻狼のことは、オレに任せとき」
「……功児」
「あんた、名はなんや?」
功児の優しさが一際、身にしみる。
小さく、“奏多”と呟いた。
「さっきの女のことはさて置き、あいつの事はどうにかせなあかんな。みんな言いなりになりおって、情けないで!」
「そうね」
「っ……何ついてきてんねん!」
「いや、だって私、みんなの所戻らないと行けないし」
「お前……人質っちゅー立場、ちっともわかってへんな」
「人質になれないもの。あの人とは何でもないわけだし。第一、みんなに教えるから。あなたが」
名前を言い終わるか終わらないかの一瞬で、肩を強く掴まれる。
「痛っ……!!」
「また今度、それ言うたら犯すで!!」
「……………」
その言葉に目を見開く。
翼宿は大人しくなった私が怖がったと思ったのか、フン、とそっぽを向いた。
犯す?誰を?
誰が?翼宿が?
「ブフッ」
あ、ダメだ。我慢してたのに。
「なに笑っとんねん!」
「出来ないくせに、何言ってんだかー」
「な、なんやとー!?」
もうそうやって、顔を紅くしてる時点で無理してる。
まだ何か反論しようとする翼宿を功児が割って入って止めた。
「幻狼からかうんはやめぇや。おもろいのはわかるけどな」
「おい!」
「そうね。からかうなんてダメよね。面白いけど」
「お前らなぁ!!」
さすが功児。ノリがいい。
「もうお前らなんぞ知らん!オレ1人で行くで」
「待って、幻狼」
「なんやねん!」
「それ、今手に持ってるもの、少し見せてくれない?書いたものが幻となって出てくるんでしょう?」
「……やらへんぞ」
「ケチね。ちょっと見たいだけよ。すごいものを持ってるなんて!かっこいいわ!」
「お……?せやろ?わかってるやないのー!ええか、ちょっと見せるだけやで」
ふっ。チョロいわね。
翼宿が手に持ってるもの。
私の知る美朱は確かここに……。
私がよりうまい使い方をしてあげる。
「向こうから忍び込むで」
「おう!ほら何してんねん。見るだけやろ!?返さんかい……」
ザッ……!!!
「どわっ!!なんや!」
「剣や!どっから……あ。」
言葉通り歩き始めたところに、翼宿の首めがけた剣が茂みから突き出てきた。
「探したぞ貴様!よくも奏多に手をかけたな!!」
「星宿!柳宿に美朱ちゃんも!」
「奏多さん、無事!?」
「えぇ、私は全然。あ、この人ね」
言い終わらないうちに、後ろから大きな手で口を塞がれる。
はぁ、これだから……私だって馬鹿じゃないのに。
「貴様!奏多に何をする!!」
「……ぷはっ。いいの星宿。私達、ちょっと仲良くなったの。じゃれて来ただけよ」
「なんやて!?誰がじゃれ……」
星宿が怪訝な顔を向ける中、手を退けるとズイッと翼宿に顔を寄せ小声で囁いた。
「言わないって。あなたは幻狼なんでしょ」
「…………」
「わかってると思うけど、この人達は味方にしないとダメよ」
反論がないということは、理解してくれたのだろう。この人達が、自分と同じ“七星”という事を。