ふしぎロマンス8~山賊~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「あの!ちょっと!!」
「…………」
「待って!待ってったら!!連れ去る人、間違ってるわよ!!」
「……………」
「聞こえないの!?」
「うるっさいねん!!!」
どこかについたらしく、ドサッと投げ捨てられた。
……なんかこの扱い、腹立つな。
知らないんだから。
上着なんて脱いじゃってさ。何する気なのよ。
「この場所はオレとダチしか知らん!誰も助け……」
「功児でしょ、友達って」
「………誰も助けにけえへん!」
「いや、聞こえないふりしないで進めないで。というか別に怖いとかないから。人質になんてならないから」
「…………」
何かがおかしいと思ったのか、ゆっくり振り向いた。
目と目が合う。
「お、おまっ……あの時の!!功児の女やんけ!!」
それは違う。
誤解したままだったか。
「なーっ!!!オレ、功児の女、連れてきてしもたん!?」
「いや、……違うから……」
「お、オレはダチの女やのに……なんつぅことを……」
「あのー……翼宿サン?」
「その名で呼ぶな言うたろが!!」
部屋の隅に疼くまり、悶々と悩んでいたのに、“翼宿”と言うだけで、顔をぐりんと向けてきた。
「ええか!これは事故や!故意やないで!!」
「でしょうね」
「せやから、後で功児にバレたとしてもやな……」
「功児ならさっきいたけどね」
「な、なんやて!?」
その時、ガタン、と物音がした。
咄嗟に私の口を手で塞ぎ、「誰や!」と問いかける。
誰って……ここは翼宿とお友達しか知らないんじゃ……。
案の定、愉快なひとり漫才が聞こえてきた。
「ごめん下さい!どなたですか?幻狼に会いに来た親友の功児です。まぁ!それはよくいらっしゃいました。お入り下さい。ありがとう」
ガチャ、と功児が顔を見せる。
このセリフを私は覚えてたのか。だからこんなややこしい事に……。
「功児……久しぶりやんかー!」
「さっきもおったで!さっきも!」
「さ、さっきも……?」
ピタ……と動きを止めた。
翼宿が私と功児を交互に見る。次の瞬間、翼宿は功児にガバッと頭を下げた。
「すまんかった!!!」
あー……どうしましょ。
これはこれで後が怖い……気がする。
「オレの女?ちゃうやろ。お前のダチやろ?」
「…………は?」
……やばい。
これはまずい展開だ。
2人して顔を見合わせているうちに、そろり、とその場から離れようとした。
でもすぐにガシッと頭を掴まれる。
「ちょお、待てや」
「い、痛い……」
「お前、幻狼のダチやなかったんか?」
さすがに2人から凄まれれば、足がすくむ。
「そやかて、幻狼。こいつ、ここにはお前に会いに来た言うて来たんやで」
「なんやて?」
「しかも睿けんからハリセンも奪ったるて自分から部屋行く言うたし」
「はぁ!?気がおかしィなったんか!?」
「お前が“翼宿”てことも知っとるみたいやったから、てっきりお前のダチや思て」
聞けば聞くほど、私に怪しい視線が送られてくる。
「お、オレかて……こいつ、功児の名前、言うたんやで?」
「オレの?」
「そや。せやからお前の女や思ったんや」
「ホンマかいな」
「いやいや、それだけで女って思う方が単純だから……」
「なんやてぇ!?」
……しまった。
つい思ったことを口に出してしまったけど、大人しくしとけばよかった。
今までのことの矛先がすべてこちらに向かう。
「「どういうこっちゃ!!」」
見事に声がハモった。
やっぱボロは出るものなのね……。
「おい!女!!」
ガッと肩を掴まれ、ものすごい剣幕で睨まれる。
なかなか現代社会でここまで凄まれることなんてないだろう。怒鳴られることなんてあるだろうか。
翼宿なんて、怖くないはずなのに……。
大きな声に思わず目をぎゅっと瞑った。
「げ、幻狼……やめぇや。怖がっとるで」
「……チッ……。お前は、誰や」
功児の声があって、翼宿の声が小さくなる。
「話すから……。翼宿、仲間になって」
今度は目を逸らさない。ここで逸らしたら負けだ。
彼は“翼宿”と呼ばれたことで、表情を硬くした。