ふしぎロマンス8~山賊~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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私はあの後、後ろ手で縛られた。
それでも気絶させられることもなく、殴られることもなく、ただ歩かされた。
美朱や柳宿、星宿は男達に担がれている。
暫く山道を進む。
途中、足元を掬われ、何度も足を滑らせる。
手で防御できずに転ぶというのは、本当に痛かった。
「鈍くさ……」
見知らぬヤツに言われてしまった。
こんな山道、すでに暗いというのに男たちと同じ速さで歩けるわけがなかった。
ようやくついた所は、こんな所に作られているのかと思われるアジトだった。
歩いていると美朱たちが違う所に連れていかれる。
「ちょ、ちょっと!どうしてあっちに行くの!?」
「お前はこっちや」
……まさか、幻狼がいる、とか?
いやいや、まさか!
いないはずよ、多分。確か。きっと……。
うん、記憶が曖昧。
「兄キ。変なヤツが変なことを言うんで変だと思いつつも連れてきやした」
……そんな、変を連呼しないでよ。
部屋の中に通され、中にいる人を見る。
青い髪。日に焼けた肌。
左頬に……傷?
うーん、この顔は見覚えがあるんだけど……。
私を連れてきた男が、青い髪の人に小声で告げる。
「何!?幻狼を知ってるやて!?」
……あら、えらいことになりそうな予感?
連れてきた男は頭を下げると部屋から出ていった。
代わりに青い髪の男がズカズカと目の前に来る。
「お前は、誰や」
わー、デジャブ。
前にもこんなのあったよね。
「幻狼、知ってるんか?」
「……あなたこそ、誰?」
今度はちゃんと名前を聞いておこう。
またおかしな事になっては困る。
「オレは幻狼のダチの功児や」
「…………………………え?」
こうじ?
「えーーーー!!!あなたが功児!?え、そうだった!?」
あぁ……全国の功児ファンの方、申し訳ありません。
決して……決して忘れていたわけじゃ……。
ちょっと昔過ぎて、その時は軽く読み進めちゃって……名前と顔を一致させてなかったんです。
ほんと、ごめんなさい……!
「なんやお前……怪しすぎるで。めちゃくちゃ汚れとるしな」
「あ、いえこれは後ろで縛られているからです。コケたんです。痛いんです」
「そんなこと言われたかて縄は外させへんで?」
「も、いいです。諦めました。でも……」
一息ついて、私は口を開いた。
きっとあなたなら……わかってくれる。
「幻狼に会わせて。私達、“翼宿”を探しに来たの」
その瞬間、功児の顔色が変わった。やっぱりこの人は知っている。
やっと思い出してきた。
今は翼宿はいない。そして、この人たちの悩みの種というのがここにいるはずだ。
「今の頭、名前は流石に思い出せないけど、その人のことをどうにかしてあげる」
「な、んやて……?」
「私を頭のところに連れて行って」
「頭のとこて……お前、自分が何言うてんのか、わかっとんのか?」
「ダメ?私じゃ合格しない?」
「そんなわけ………」
いける?
年だけはいってますけど。
「あなた達、今の頭に刃向かえないんだったわよね。ハリセンを持ってるから」
「な、なんで知ってんのや……」
「私が奪ってきてあげる。だから、早く案内して」
功児はじっと私を見据えたまま、動かなかった。
でも何か思い切りがついたように、私の頬を手拭いでぬぐい始める。
「な、何……?」
「あいつのとこ行くんやったら顔くらい綺麗にしとかな。泥ついてるで」
「え……」
「じっとしとれ」
間近に、真面目な顔をした功児がいる。
不覚にも心臓が高鳴る。
無駄にかっこいい。
自分でもわかるくらいにドキドキした。