ふしぎロマンス7~黄龍の依り代~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「さて。黄龍のことだが……」
一際、凛とした声が耳元で響いた。
少し離れている柳宿と井宿にも聞こえるように出したのだろう。
後ろから手を前に回すと、目の前に書簡が広げられた。
「黄龍は伝説となっている神獣だ。よって、ここに書かれてあるのも信憑性にかけるのだが……」
星宿は目を通しながら話し出す。
柳宿も井宿も静かに聞いた。
「黄龍は4つの神獣を統べるものとされている。その姿を確認したものはおらず、存在するのかも定かではなくなった」
「しかし、黄龍が現れる時、その力は何者よりも強く、黄龍がひと鳴きすれば、風が生まれ地を這う。生きるも壊滅するも黄龍が導くもの」
「黄龍の加護を受けた国は永久に富と幸福が約束されるであろう、と書いてあるのだ」
……なんて都合のいいことばかり書いてあるのだろう。無理もない。なんせ伝説だもの。
「伝説がなぜ私と透くんに……」
思っていたことを口に出していたらしい。
視線が集まった。
「倶東国で会った者の中に、奏多の友人がいたと言うのはまことか?」
「あ、うん。私が高校時代の……あ、若い頃に学問を一緒に学んでた時の友人で」
「ほう。学問を。女人なのに学ぶのか」
「そうよー。美朱ちゃんだって、勉強してるでしょ?」
「そのようだな」
「透くんとは10年振りに会ったの。学問を学んでいた時だって、そんな仲良く話をする仲ってわけじゃなかったのに……どうして私たちなんだろう」
ずっと引っかかっていた。
彼も私も、お互いに巻き込んでしまったと思った。
元の世界で10年振りに会えた時も嬉しかった。そしてこの世界でまた会えた時も……嬉しかった。
「でもあんたのいう、透ってやつは美朱の命を狙ったんでしょ?」
「う、ん……」
「しかも、力だって奏多とは全然違うもんだったって言うじゃない」
そうだ。
彼の力は……
「この書簡にもあるように、“風”、“地”、“生”、“壊”が黄龍の力なのだろう」
「それらが奏多と透に分散された、と考えていいですのだ」
「その通りだ、井宿」
「あんた、目の前で透の力を見たんでしょ。どうだったのよ?」
柳宿に指摘され、井宿は眉をしかめた。
「彼は本気じゃなかったのだ。美朱ちゃんを殺ろうと思ったのなら、一瞬で出来たはずなのだ」
「では、手をかけようとは思っていなかった、と?」
「それは……わかりかねますのだ」
井宿が、じ……と見てきた。
ようやく目が合った、と思った時だった。3人がいきなり何かに反応した。
嫌な気配がする。
膝からストンと飛び降りると、星宿の後ろにつき、階段をかけ降りた。