ふしぎロマンス7~黄龍の依り代~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「そうか。そなたが奏多を見ていてくれた七星か」
「だ。井宿と申しますのだ」
「奏多をよく引き受けてくれた。礼を言うぞ」
本当に、私は井宿に頭が上がらない。
井宿がいなければこの世界でどうなっていただろう。
変なやつに捕まって、売られてたんだろうな。
売られる、ということは想像もつかない。
でもきっとこの上なく不安で恐ろしいことなのだろう。
「話はわかった。黄龍についての文献を持って来させよう」
「助かりますのだ」
「でも“依り代(よりしろ)”だなんて……名前からすると物騒ねー。取り憑かれる器ってことじゃないの」
柳宿が身震いしながら話す。
確かに“黄龍の依り代”と聞いた時には心臓がドキリとした。でも、ただその時だけで、あとは……。
「うまく言えないけれど、黄龍を悪い神獣とは思えないよ」
彼、と神獣に対して言っていいのかわからないけれど、それでも私に与えてくれる力はとても清らかだ。
その時、1人の文官が星宿に駆け寄ってきた。
何かを受け取り、目を通す。
「奏多。あったぞ。ここに黄龍のことが書かれてある」
星宿に言われて、隣へ行く。
そっと私の目の高さに書簡が下ろされた。
う……見事に漢字ばっかりね。
「ごめんなさい。こちらの文字は読めないわ」
「そうか?では教えてあげよう。おいで」
星宿が私の手を引いた。
どこへ行くのかと思ったら、高い位置にある椅子に連れていかれる。
「えっ、星宿!そこはダメだって!あなただけの場所よ!」
「構わぬよ」
……いや、私が構う!!
問答無用とばかりに階段をスイスイ歩く。
待って!まだ井宿も柳宿もいるじゃないか!
2人とも……いや、柳宿だけこちらをものすごい形相で見てる。
「ダメダメダメ!!あとで殺される!」
「ははは!そなたに危害を加えさせる輩は私が許さぬよ」
ひぃ~~~!!
もっとダメ!そんなセリフ、言うもんじゃないよ!!
「さぁ。柳宿に井宿、そなた達も楽にするといい」
「星宿様……」
「……はいなのだ」
星宿、天然だ。
純粋なんだろうけれど、いたたまれない。
星宿は座ると見上げてくる。
その顔は……その手を差しのべてくる姿は……。
私に“そこ”に座れと!?
さすがにこれは……照れる。
こんな状況今までなったことがない。こんなスムーズに出来る人もそうそういない。
……ダメだ。断る空気、ない……。
星宿の手を握るとやんわりと引かれ、くるっと体の向きを変えられれば、その体に包まれるように座らされた。
星宿の膝の上に座ってますけどー。良いんですかね、これ。
「そなたは小さいな」
「……いえ、普通です。というか、これ……後宮の方々にしてあげてね」
「うん?」
「……柳宿が悔しそうに袖噛んでる」
「ははは」
笑い事じゃないよ!!
私はこの後も生きていたい!
「星宿……早く黄龍のこと、教えてほしいのだけど」
「あぁ、そうだったな。つい抱き心地が良くて忘れていた」
「わ、私で遊んでるでしょ!?」
「まさか、そなたの反応が面白いからやっているわけではないよ」
……前言撤回。
天然タラシだ。