ふしぎロマンス7~黄龍の依り代~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今見たことは、すべて夢であって欲しかった。
でも太一君は言った。
これが現実だ、と。
ふらつく足でその部屋から出た。美朱もすぐに部屋に引きこもってしまった。
わからなくもない。これが現実だと受け入れたくもない。
この現実から目を背けてしまいたかった。
「奏多」
美朱の入っていった部屋の前でしゃがみ込んで待っていると、井宿が声をかけてきた。
膝の上に乗せていた頭を持ち上げ、井宿を見上げる。
「なに?」
「あの透と言う者は、君の……友人なのだ?」
「そう。私と同じ世界の人。私がここに来る時に一緒にいたの……」
彼を巻き込んでしまった……。
最後は言葉にならず、喉の奥に消える。
熱いものが込み上げそうになるところをぐっと我慢した。
「なぁ、さっきの……太一君が言ってた話、本当なのか?お前と透が“黄龍の依り代”で、それぞれに力が分散されてるって」
鬼宿が井宿の横に立ち、見下ろしてくる。
「よく、わからないの。でも……こんな力、この世界に来るまで無かった。再生できるってわかって嬉しかったのに……今はとても複雑」
「奏多……」
「あの者は風を操り、何か人を攻撃できる力があるのだ。そして君は大地を操り、再生の力。きっと透は破壊の力を持っている」
「対になってるな」
「そうなのだ。黄龍のことをもう少し知れたらいいのだが……」
「それなら……」
前に星宿が言っていたことを思い浮かべる。
「星宿が黄龍の文献があるって言ってた」
「それなのだ!」
「てことは、宮殿に戻らねェとな。美朱……大丈夫かな」
「今、太一君が話をしてくれているのだ。待つしかないのだ」
「あぁ」
きっと美朱は大丈夫だと思う。
これから残りの七星士を探しに行くとなってくれるはずだ。
「ねぇ、鬼宿」
「ん?どうした?」
鬼宿の私に向ける笑顔はとても心地がいい。
何度その笑顔に救われたことか。
でも……。そろそろ、ちゃんとしなくちゃいけない。
「はっきり……させようかなって思うんだけど」
「…………」
「あなたの気持ち。このままじゃダメでしょ?」
美朱から感じる悲しい表情。その元凶は私。
いつまでも、このままでいることは私も避けたかった。
黄龍とは一体何なのだろう。
なぜ、私と彼にその力が宿ったのか。
大地を操る、と言われてもこの力についてはよくわからない。
実は太極山にいる間に何度か手を振りかざしてみた。でも、その手の先には何も生まれて来ず、部屋は綺麗なままだった。
太一君曰く、ここは特別な空間だから力が発動しないと言っていた。
本当にそうなのだろうか。
だってさっき……。
思い出されるのは鏡に映し出された透の惨劇。あの時、確かに何かの感情が芽生えていた。
透に対する気持ちと、その透を痛めつける男達への感情で、何かが弾けそうだった。
太一君が止めてくれなかったら……。
私は何をしていたか、わからなかった。