ふしぎロマンス7~黄龍の依り代~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「大地を操れるのか」
折れた矢と目の前に現れた岩の集まりにも見える盾を見て、心宿が言った。
正直、自分でも驚いてる。
これは何?こんなのやったこともない。
でも、今ならわかる。この力の使い方が。体が勝手にどうすればいいか動く。
扉の横の壁に向かって、手を振り上げた。
そこにあった床がボコボコっと盛り上がると、地面がむき出しになり、壁に亀裂が入る。
亀裂が入ったことで結界が緩まったのか、スッと井宿が目の前に現れた。
「2人を返してもらうのだ」
「結界を破ってこの青龍廟に入っただと……お前、術が使えるのか」
「むんっ」
井宿がそっと美朱を抱え込み、片方の手の親指に数珠を掛け、印を結ぶ。
ドンッとものすごい音と爆風で私たちの周りが粉々になった。
有り得ないほどに強力な井宿の術に唖然とする。
先ほどの私が亀裂を入れた壁が崩壊した。
その先に、鬼宿の姿はあった。
鬼宿は中の状況を見るや否や、渾身の力で中に無理やり入ってきた。
拳を構え、バリバリと鬼宿のまわりが音を立てる。
それとともに、鬼宿にも無数の傷がつけられた。
「うおおおおお!!!!」
突き破った!と思った時には、鬼宿の拳が心宿の脇腹に直撃した。
「くっ……」
痛むのか腹部を押さえ、前屈みになる。
「奏多!美朱!大丈夫か!?」
「私は平気。美朱ちゃんがすごい怪我なの」
鬼宿は美朱を抱きしめると、2人とも唯に目を向けた。
「鬼宿!この笠の中に美朱と奏多を入れるのだ!あの方の所に通じているのだ!!」
鬼宿と美朱が唯も一緒に、と叫んでいる。
私も、体が動かない。
ずっとあの人がこちらを見ているから。
「奏多……」
「透くん……」
「奏多!早くするのだ!!」
井宿が心宿の攻撃を受けながら叫ぶ。
「奏多。ここに残って」
透の言葉が私を動けなくする。
ここに?あんなことをした人のもとに残れるわけがない。
でも……置いて行くことも……出来るわけがない。
「井宿……」
「まさか馬鹿なことを考えてるのだ!?」
「彼を、置いていけない……だったら」
「ふざけるな!!!」
「ッ……」
本気で怒鳴られた。
初めて耳にした怒気のある声に体が萎縮する。
それと同時に心宿の攻撃によって、井宿の面がパラ……と剥がれ落ちた。
井宿の素顔……完全に怒っていた。
「奏多。話は後で聞く!早く入れ!!」
むんず、と首のところの服を掴まれ、美朱と鬼宿が入った笠に投げ入れられる。
グラッと眩暈がするとともに、私の意識はそこで途絶えた。