ふしぎロマンス7~黄龍の依り代~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「透、くん……何を……」
部屋に入ると、美朱が床に倒れていた。
その体中に無数の切り傷。
「美朱ちゃん!!」
駆け寄ると、美朱はうっすらと目を開けてくれた。
「……奏多さん……うっ……!!」
「美朱ちゃん、遅くなってごめんね。痛いよね。大丈夫」
すぐに治してあげる、と言おうとした時に、感じる強い殺気。
バッと振り返ると透が私達に弓を構えていた。
その後ろに、心宿と……唯がいた。
「心宿。あの人、誰?」
「これは唯様。ご説明が遅くなりました」
「いいよ。あの人、美朱の仲間?でもここに入れてるってことは……」
「はい。朱雀七星ではありません」
「なら……」
「あの者も、“黄龍の依り代”です」
この2人の会話に反応したのが透だった。
でも私たちから目を離すことはない。殺気も消えてくれない。
「……奏多も“黄龍の依り代”だったのか?」
「透くん……」
確認するかのように呟かれた声が低くて緊張が走った。
「なら、心宿。この人も透と同じ力が使えるの?」
唯の言葉に私も固唾を飲んだ。
透にも私と同じ再生の力があるのだろうか。
「この男の人、さっきものすごい風を巻き起こしたの!」
「美朱ちゃん?」
「それにこの傷だって……遠かったのに!いきなり痛みが来て、体の中から何か壊されてるようだった」
風……壊される……。
違う。私にはそんなことは出来ない。
これは……私とは違う力だ。
「答えろ。貴様の能力は何だ」
「それで答える人がいると思う?」
「貴様がここまで無傷で来れたのは誰の助けがあったと?」
「あ、やっぱりこれ?この服着てから将軍って言われるようになったんだけど」
「フッ。役に立っただろう?お前ならここまで来ると思ってな」
「どういうつもりがわからないけど、でもそれとこれは別。美朱を返してもらうわ」
美朱を立たせ、私の後ろに隠す。
「それで護れると思っているのか。1人で何ができる」
「でも、心宿。あの人も“黄龍の依り代”なら、大事にしないと」
「はい、唯様」
心宿が唯に軽く頭を下げると、低く言葉を発した。
「透様。あの者は捉え、朱雀の巫女は始末を」
何をこいつらは勝手に……!!
とは言え、反撃する力は何も無い。
なんせ私は再生することしか出来ない。
「奏多。君に怪我はさせたくない。退いて」
「透くん!やめよう!こんなこと……」
「俺ね、変わっちゃったんだ。もう、君の知ってる透じゃないんだ」
そんな、辛そうな顔して何を言ってるの。
やめてよ。
あなたは……私の……あの頃の私の………
「朱雀の巫女。悪いけど消えて」
透くんの冷たい声が響いた。矢が放たれる。
彼もまた弓の腕前は確か。正確で、芯の強い……弓の名手。
さらに今は鋭くって……殺意がある。
「やめて……!!!」
美朱を護るように手を広げ、体で受け止めようとした。
……グラ………っ!
「な、何?地震!?」
「唯様、こちらへ」
突然、地面が揺れた。この感じ、覚えてる。
この世界に来た時に感じた揺れに近い。
「美朱を悲しませることは許さない……」
つぶやくと同時に、私の目の前に床がボコッと盛り上がった。
矢が放たれてから僅かな時間だった。
床は1枚の盾となり、矢はそこに当たってポキッと折れた。