ふしぎロマンス6~再開~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「……寒いだろ、平気か?」
「これくらい、どうってことないわ」
すでにびしょ濡れになってしまっているが、この際、強がって気にしないようにした。
「行って、鬼宿」
「必ず戻る。ここで待っててくれ」
「わかった」
私が大きく頷くと、鬼宿は一度私の頭に手を置き、走り出した。
「……ハァ…………」
美朱のことは鬼宿に任せよう。本来何もせずともそうするはずだから。
無意識に体を抱きしめる。寒い。
濡れた服が冷えてきて、肌の体温を奪っていく。
替えの服になるものがここにはないだろうか。
コソ、と部屋の中を見てみる。殺風景な場所だ。
しかし、人の気配はない。
この場所から出ようとした時、扉が開く音がした。
咄嗟に元の場所に引き返し、しゃがみ込む。
誰かが入ってくる。これはまずい。
誰だ。兵か?私に戦えるのだろうか。
弓も何も無い、この状況で……。
「いつまでそこに隠れている気だ?出て来い」
……万事休す………!!
この声、心宿だぁ!!!
よりにも寄って心宿が入ってきてしまった。
心臓が更に音を立てる。
ダメだ。勝てる気が……しない。
あぁ……私の人生、ここで終わりかもしれない。
こんな所で私はこの世に別れを言わなくてはいけないのか。
あぁ……まだいろいろやれることもあっただろうに。
「出て来ぬ、か……」
「ハイッ!出ます!出ますって!」
降参、とばかりにピュッと表に出た。
……こいつ!自分だけ着替えてやがる………!!
さっきまで雨に打たれていたのは同じなはずなのに、心宿の服は濡れていない。
……ずるー!!
「捨てられた猫のようだな」
「……あんたがポイッと捨てたんでしょうが」
思わず口から出た悪態に口が滑った、と慌てたけど、心宿は気にしていない素振りだった。
ならもう私も気にかける必要はないというもの。
「着替えたいか?」
「別に。すぐに乾くわ」
「そうか。着替えを、持ってきてやったのだがな……」
なに?
それは話が変わってくる。
「え、私に?あなたがわざわざ?」
「そうだ。いらんのか?」
いる。
いるに決まっている。
ス、と差し出された腕に綺麗な服がかけられている。
「くれるの?」
「着るといい。お前に良く似合うだろう」
えー、心宿が優しいんですが。
手を差し出したまま、心宿は動かない。
それなら、さっと手にすれば大丈夫だろうか。
じ……と服に目をやり、心宿と交互に見る。
動かない。よし、もらおう!!
意を決して、心宿の腕から服をもぎ取った。
…………え?
服に触れた途端に腕を引き寄せられる。
ドンっと心宿の甲冑に顔を打ち付けた。
え、何が起こったの……?
「私が脱がせてやろう」
「………は!?」
心宿が大きな体が私を包み込む。
ガッチリ腕が背中に回り、体を離すことが出来ない。
それなのに、片方の手が器用にも私の帯を解き始めた。
「え、ちょ、ちょっと!!」
力を入れて押し返すもまた引き寄せられる。
むしろ押し返すことで隙間ができたところを、これまたどれだけ慣れているのか、という手つきで肩から服をスルリと落とした。
……ぎょえぇーー!?!?
えっ、なに、なんだ、これ!
「や、やめてっ!!」
「これは……」
2枚ほど重ねて着ていた服が全て腰の下まで落ちる。
背中が外気に晒され、冷えきった体がブルッと震えた。
いや、ほんとに寒い。
「お前も……“黄龍の依り代”か」
「え?」
ツツツ…………
ひぃー!!!
心宿の指が背筋を撫でたぁ!!!
ぞわぞわっとして背筋が伸びる。
これ、どうしたらいいんだ……!?
「ここに紋様があるのが……わからないのか」
「え?」
「お前も“依り代”とはな……」
クッと小さく笑うと、無造作に私を自分の体から剥ぎ取った。
「もうよい。放れろ」
いや、あなたが抱きしめたんだから!!
床に投げ飛ばされた私の姿は無様だろう。
服を手繰り寄せ、前を手で押さえる。
「その服はお前にやろう。好きにするがいい」
心宿はもう一度小さく笑うと、部屋から出ていった。
「な、なんだったの、よ……」
座り込んだまま、私はようやくゆっくり息を吐いた。