ふしぎロマンス6~再開~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「いきなり……変なこと言ってごめん」
「ううん、あの、透くん」
「うん?」
「あのね、」
私も黄龍の力がある、と伝えようとした。
だけど、彼を呼ぶあの人の声で会話は途切れた。
「透様。よろしいでしょうか」
「あ、はい」
声を受けて、心宿が入ってくる。
部屋に足を踏み入れると、心宿は透に頭を下げた。
「透様にお力添えをお願いしたく」
心宿は目の前に立ち、透に話しかけながらもチラリと私を鋭い目で見てくる。
透は青ざめた表情で小さく頷いた。
「わかった」
「透くん……?」
「少し、待ってて」
「えっ……待って私も!」
出ていこうとする透を追おうとする。
でもそれは心宿の体によって遮られた。
「あの、退いていただけませんか」
「お前は何者だ」
「…………」
「透様との知り合いならば……異世界の者か」
眼光が怖くて直視できない。
先程までの言葉遣いはどこに行った。
でも、どうしても先ほどのやり取りが気になる。
「透くんに何をお願いしたんですか」
「知りたいか」
「えぇ」
心宿はフッと笑った。
笑ったというのに感情がまるでない。
無情。ここにこの人の心はない。そう感じ取れた。
「透様には朱雀の巫女の始末をお任せしている」
「巫女の始末?美朱ちゃんのこと!?透くんに!?」
なぜ?
ダメよ。そんなこと透くんにさせられない。
美朱だって……!何を平然と怖いことを言うのかしら!
「どこへ行く」
「えっ……ッ!?」
心宿の脇を通って、部屋から出ようとしたところに、心宿がヌッと体を近づけてきた。
咄嗟に抵抗しようとした腕を掴み取られ、その肩に担がれる。
「な、………なっ………!!」
「貴様はこっちだ」
ズンズン歩かれる。
どこへ行こうとしてる?
あ、外……雨の音がする。
「………美朱と奏多を、返せ」
その声に驚き、体をよじって声の主を見る。
雨の中この宮殿の入口に立つ、鬼宿の姿があった。
「た、鬼宿……ッ……イタッ……!」
突然、心宿が雨の中を歩き、ボト、と私をその場に落とす。
しかも、素早く髪をつかみあげてきた。
ぬ、抜ける!!!
経験したこともない痛みが頭を襲う。
髪を掴み体ごと持ち上げられるってこんなにも痛くて抵抗できないものなのか。
「奏多!!」
「その字……“鬼(たまほめ)”だな。巫女のために敵国に1人で来たのか。それとも……この女のためか」
この女と言われると同時に前に突き動かされる。
痛くて声が上擦った。
「ッ……!鬼宿は関係ないから!こんな人、私、知らない!!」
「だが、お前たちは名を呼びあっているようだが?」
「……い、嫌な性格………」
「お前も朱雀の人間だとはわかっている。巫女と七星と共にいる者、か」
ぐぃ、と髪をさらに引っ張り上げられる。
痛い、痛い!頭がもげる!
「奏多を放せ!!」
鬼宿が蹴りを食らわそうと飛びかかってきた。
心宿は気にもとめず私を投げ飛ばす。
べしゃ、と雨に濡れた地面に顔を打ち付けた。
……痛い。ほんともう何なのよ。
こいつ……人をモノ扱い!?
振り向いた時には鬼宿が膝をついて崩れ落ちていた。
「鬼宿!?」
「!」
私が鬼宿に近づいたその時、心宿の動きが止まった。
「呪縛……まだ朱雀七星がいるのか」
「井宿、すまねえ!奏多、来い!!」
「あっ……」
井宿が心宿に術をかけた?
どこ、どこかにいるの?
鬼宿に手を引かれながらあたりを見る。
その時、どこからか井宿の驚く声が聞こえた。
すぐに心宿が動いているのがわかる。井宿の術を破ったのだとわかった。
「奏多っ!こっちだ!走れ!!」
「た、鬼宿……待っ……」
鬼宿に手を引かれているとはいえ、走るのには限界がある。
しかも今まで極度の緊張と、服が濡れてしまって重い。疲労感もハンパない。
そして、ここに来ての敵を避ける動き、時には敵と戦いながら進むことに、足はもういつでも止まろうとしていた。
「たま、ほめ……先、行って」
「はぁ!?んなこと出来るわけねェだろ!」
「ダメなのよ!!早く行かなきゃ!!」
「どうしたって言うんだ……」
「……美朱を狙ってる人がいる」
「な……!」
「だから、早く美朱を探して!!」
鬼宿は目をぎゅっと閉じ、拳に力を入れた。
彼の中で葛藤が起きているのかもしれない。
「あなたは……朱雀七星でしょ!巫女を護りなさい!!」
「…………わかった」
長い沈黙のあと低く短く言うと、私を引っ張りあげどこかの部屋に入った。
仕切りのある奥に私をそっと押し入れた。