ふしぎロマンス6~再開~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「うそ……」
「奏多?どうしたのだ?」
間違いない。
私が……彼を見間違えるはずがない。
「と、おる……君」
ふら、と体が前に動く。
井宿が止める間もなく、私は駆け出した。
「透くん!!」
美朱が心宿の馬に乗ろうとしたところで2人がこちらを見る。そして、名を呼んだその人も。
「奏多……?」
透と呼びかけられた彼は信じられないと言った顔で見てくる。私もだ。
「「どうしてここに!?」」
私と彼の声がハモった。
「透様。お知り合いですか?」
「あ……うん」
心宿に聞かれ、困惑気味に答える。
知り合いとわかると私へと視線を向けた。
ひっ……!
彼のことがわかるだけに恐怖心が生まれる。
足が1歩、後ろへ下がった。
「“青龍の巫女”様もお知り合いですか」
「えっ!?」
質問が美朱にもされる中、関所の兵に鬼宿が食ってかかる姿が目に入る。
美朱も気づいたのか、心宿に早く連れていってくれと頼み込んでいた。
「放せ!オレは人を探しに……!」
その時、目が……合ってしまった。
まずい。
「っ……奏多……?奏多!!」
やばいやばい、こっちに来る……!完全に修羅場よ!
「奏多……困ってる?」
「透くん……」
「一緒に来て」
なにか察してくれたのか、馬上から手を差し出される。
鬼宿……井宿……ごめん!
絶対どこかで見ているだろう井宿にも心の中で謝った。
また機嫌を損ねるだろう。だけど今は……彼のことが気がかりだ。私は彼の手を取った。
「…………」
「…………」
沈黙が重い。
まだ目的地につかないのだろうか。
未だ私は彼の乗る馬に乗っている。背中から感じる彼の体温と、腰に回された腕が、心臓を高鳴らせた。
しばらく行くと、大きな建物についた。
それはそれは、紅南国の宮殿も小さく見えるくらいの宮殿だ。
今から美朱は倶東国の皇帝陛下に会わされるらしい。
ここで朱雀の巫女だとバレたら……いや、バレるんだ。
「どうしよう……」
「奏多?」
透が怪訝な顔を向けてくる。
「透様。その方をお部屋にお連れしては如何でしょう」
「え!?」
「心宿?」
「さぁ、お早く」
「そうだね……」
「あっ、ちょっと待っ……透くん、今は……」
「奏多、こっちだよ」
あ、あぁ……美朱ちゃんと引き離される。
美朱ちゃんも気づいたのか、こちらにものすごい懇願の目を向けている。
ごめん……!ごめんね!
そばにいて護りたいのに……!!
透に急かされるようにその場から連れ出されてしまった。
「入って」
「……ハイ」
暫くついて歩くと大きな扉の前について、中に入るとこれまた広い部屋だった。
……規模が違いすぎる………。
「奏多」
透について部屋に入る。透は振り返るとすぐに私の腕を引いた。
トン、と体はすぐに透に当たる。
え……えぇ!?
気づけば透に抱きしめられていた。
「と、透くん……?」
「………ほんとに、奏多なの?」
「え……?」
私の肩に顔を埋めたまま、苦しそうに囁いた。
「透くん?」
「ずっと、不安だった……この世界は、何なんだ……?」
あ……。
そうか。彼は、この世界のことを知らない。
知らないのに……来てしまったんだ。
「と、おる君……ごめんなさい……」
「奏多?」
「ごめんなさい……ごめんなさい……!」
「奏多……どうして君が謝るの?」
「………私が、あなたを巻き込んだ……」
「え……?」
きっと、私とあの時一緒にいたから巻き込んでしまったんだ。
「泣かないで、奏多。奏多も来てるとは思ってなかった……大変だったんじゃないか?」
「ううん、私は……」
だって、私はここの事を知ってるから。でもあなたは……?
この世界のことを何も知らないのに、いきなり来てしまって……どれだけ大変だっただろう。
「今まで奏多はどこにいたの?」
「え……えっと……」
「俺はさっきの人に拾われたんだ」
やっぱり……。
いやな気がしてならない。
「右も左もわからない俺に食べ物、服、この部屋も与えてくれた」
「あの人、もしかして優しい?」
「そうなんだ!近寄り難いかな?って思ったら、そんなことなくって。威圧感すごいけど」
「あ!それ、私も思った!」
「奏多も?だよね、あれ、すごいよね」
不思議だ。
今、こうしてまた、彼と話してる。
お互い、着てるものはこの世界のもので、雰囲気が全く違うのに。
「奏多……たぶん、巻き込んだのは俺だよ」
「え……?」
「俺ね、“黄龍の依り代(よりしろ)”なんだって。選ばれし者なんだってさ」
思考が、完全にフリーズした。
「……え?」
黄龍の依り代………?
彼も黄龍の力を……持っている……?