ふしぎロマンス5~命の重さ~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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夜、美朱は眠り、柳宿もそばで休んでいる。
鬼宿は別の部屋だ。
眠ってもどうせ夢を見る。だから起きていた。
夜が明け始めた頃、外に人の気配。
鬼宿が馬に荷を積んでいた。
美朱を見てみた。
今も気持ちよさそうに眠っている。
ダメだよ。起きなきゃ。鬼宿が行ってしまうよ?
「美朱ちゃん……」
「ぅん………」
「起きて、美朱ちゃん」
「…………」
ダメか……。
体を揺すったぐらいじゃ起きてくれない。
しょうがない。美朱の耳元で呟いたあと、すぐに寝たフリを決め込もう。
「あ、鬼宿が美朱ちゃんのおやつ、持っていった」
「なんですって!?あ、あれ?今だれの声……」
まだ寝ぼけている頭を起こし、それでも目を擦りながらあたりを探す。
………さすが美朱ちゃん。
鬼宿を探す美朱をしばらく様子を見た。今のうちに少し離れておこう。
「柳宿!柳宿、起きて!」
「んー……」
「柳宿ってば!…………ほれ!」
「ぎゃーっ!!!」
あ、ここ覚えてる。
美朱が柳宿の目の中に懐中電灯の光を向ける。
……あの子、危ないわ。
涙ぐむ柳宿を連れて、馬に乗って出かける2人を影からそっと見る。
これで少しは、私の知る物語と同じになるだろうか。
「君は行かないのだ?」
突如、声をかけられ、肩が少し跳ねる。
「井宿……」
「だっ」
声のする方を見ると、木の上からこちらの様子を見ている井宿がいつもの面をつけてそこにいた。
「……最近、井宿の気配がわかんない」
「当たり前なのだ。今までがわからせてあげていたのだー」
「うわ、ムカツクわね、それ」
ジロ、と見ると井宿は肩をすくめて木から飛び降りる。
そうか……井宿も身のこなしがいいのか。
「奏多はオイラが突然現れると怒るのだ」
「だからわからせてた、と?」
「そうなのだ!」
一気に脱力しちゃう。
気配が読めるようになったと思ってたのに、気のせいだったとは……!
「怒ってるわけじゃないもの。ビックリするだけだもの」
「だ……すまないのだ」
「べつに、いいけど……」
ん?ちょっと待てよ。
なんで今、私は呑気に井宿と会話してる、の……?
「井宿!?」
「どうしたのだ?」
「ここにいちゃ、ダメでしょ!!」
「だっ!?」
「美朱ちゃん……巫女のそばにいなさいよ!」
ぐいぐい背中を押して歩かせる。
それに反発するかのように押し返される。
「だ…っ」
「ほらほら!」
「奏多は行かないのだ?」
「私は後で行くから!とりあえず、井宿はいかないと!」
記憶が正しいなら、ここであなたは正式に巫女の前に出ていくのだから……。
「……わかったのだ」
井宿が一瞬、遠くを見据えると私にそう言った。
やけに引きが早いけれど、それはそれで助かる。
手を振って井宿が駆け出すのを見送った。