ふしぎロマンス5~命の重さ~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「鬼宿!それ、ちょっと貸して」
「は?これ?」
「そう!試してみたいの」
「でももう、刃の部分が無理だ」
鬼宿が手放した、ポッキリ折れてしまった鎌を手に取る。
「あぶねェって」
「これがなおせたら、すごいでしょ?」
手に持ったまま、意を決してゆっくり刃の部分に唇をつける。
冷たい感触が伝わると同時に、ぽぅ……と光ると刃は見事に再生されていた。
「嘘だろ」
「やった!出来るじゃんー!」
はい、と鬼宿に渡すと、まじまじと見つめてはブンブン振り回し始めた。
「うわ、完全になおってらぁ」
「私、頼りになるでしょー」
「そうだな。お前、すげーよ」
次々になおしていく。でも不思議とふらつくことはなかった。
やっぱり、こっちの方が都合がいい。直接力を送れてる、という感じがする。
村人に綺麗になった道具を見せると、どこかで買ってきたのかと思われた。
鬼宿と2人、曖昧に答えてやり過ごした。
「奏多の力、人に知れ渡らないようにした方がいいんじゃないか?」
「え?」
「お前、なんでも元に戻せるんだろ?」
「そうね。元の姿をイメージすることさえ出来れば」
「てことはさ、万一、敵国にバレたら……紅南国にとっちゃ大打撃だ」
鬼宿の言葉にも頷ける。
武器も再生できる。そうなれば、かなり有利だろう。
「あんまり、使うなよ。力を」
「……そうね。汚れてるものに口つけるのも嫌だし」
「いや、そこかよ」
あたりは暗くなり始めた。
2人で村を歩いていると、前方から松明に火をつけた村人がぞろぞろと歩いてきた。
「鬼宿さん。準備できましたよ」
「あ、おう」
村人に手を上げ答える。
「鬼宿、これからどこ行くの?」
「あー、暗くなってきたし、今夜はあっちの森を見回りすることにしたんだ」
「森……」
「じゃ、お前は先に」
「私も行くわ!」
「はぁ!?なんでだよ!」
「いいから、さっ!みなさん、行きましょ」
後ろでポカーン、と口を開けている鬼宿を置いて、村人たちの背中を押して歩き出す。
「ちょ、ちょっと待てって!」
この状況で、森。
きっと、今夜に違いない。
暗闇の中を歩きながら考える。
曖昧にしか覚えていないけれど……確か、美朱が鬼宿と会って、美朱はその時に井宿とも会う。
それから倶東国から狙われてるって教えてもらうんだわ。
あれ……じゃあ、もうこの中に……。
ハッとして、後ろを振り返る。
「奏多?どうした?」
「うん……ちょっとね」
振り向いた私に気づいた鬼宿が松明を後方に向ける。
そこには不思議そうにこちらを見ている村人たちしかいない。
もしかしたら、この中にもう……。
美朱を狙う人が、いたりして。
なーんて、まさかね!
「何でもない。いこっ」
足を1歩、踏み出した。確かに踏み出したはずなのに、その足は地面につかなかった。
「んむっ……!?」
口を何かで塞がれると共に後ろに引き釣り込まれる。
え、この状況って……まさか。
「おい!奏多!?」
あっという間の出来事だった。
気づいたら茂みの中に座り込んでいた。
しかも、後ろから誰かに抱き締められている。
「…………」
知ってる。
これは、わかる。誰なのか。
「……なんで、私を引き釣り込んでるの!?」
「…………」
「井宿!」
その場で体をよじり、後ろを見る。
久しぶりに見るその顔に、胸がトクンとなった。
「久しぶりなのだ」
「あ、うん。久しぶり……」
って、これ今する会話!?
「井宿、違うわ。私じゃない。引きずり込む相手を間違ってるわっ」
「あ、待つのだ!」
茂みをかき分けて、人声のする方へ向かう。
松明の明かりがするところに、ちょうど鬼宿とそれから……
美朱がいた。