ふしぎロマンス4~狂う歯車~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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この夜は何も起こらなかった。
誰に会うこともなく、私たちは泊まらせてもらえる家に戻った。
まだ……美朱ちゃんは帰ってきてないのかしら……。
今日じゃなかったか。
井宿がいれば巫女の気配がわかる。なら……鬼宿は?
「ねぇ、鬼宿」
「あ?なんだよ」
「巫女の気配、する?」
「は?」
この反応なら……気配はわからないか。
「ううん、何でもない」
「……なぁ」
「んー?」
窓から外を見ながら答える。
「お前さ、なんで部屋、別にしなかったんだよ」
「え?」
振り返るとベッドに横たわる鬼宿がこちらを見ている。
「なんで、と言われても……」
「普通別にするもんだろ?」
「………お金、2倍必要になるけどそこは平気なわけ?」
「へ、平気じゃねーよ!いてェ出費だよ!」
「でしょー?私が勝手についてきちゃったわけだし、2倍なんて申し訳ないし。それに……」
「それに、なんだよ」
「前も同じようにしてたから、ついその時みたいにしちゃった」
「前、も………」
言い終えて、窓の外に再び目を向ける。
あれ……いま、あそこに………
「っ……!!」
錫杖の先端が見えた。
窓から身を乗り出し、暗闇に目を細めて見る。
「奏多?」
そんな突然な行動に鬼宿がそばまで来て後ろから肩を引かれる。
いま、そこに……いた、よね?
井宿……。
「奏多……」
知らず知らず、笑顔になっていた。
ーーーオイラは君のそばにいるのだ。
あの時の言葉が蘇る。
ずっとそばにいたのだろうか。
井宿がそばにいるかも、と思ったら外が気になって仕方がない。
「……なぁ、早く寝ろよ」
「うん……」
「何、探してるんだよ」
「鬼宿、先に寝てていいよ」
んー……見えない。
闇の中を目を凝らしてみても一向に見えてこない。
「寝れるわけ……ねェよ」
グイッと手を引かれれば、ベッドの上に放り投げられる。
「ぶっ……!ちょっと!鼻、打ったじゃない!」
「いいから!もう寝ろって!」
その勢いに言葉が詰まった。
両肩を押さえつけられ、身動きが取れない上に、目の前に鬼宿の顔。
鬼宿の腕は伸ばされているものの、近い。
「あのー……鬼宿?」
「誰、探してたんだ?」
「え?」
「面倒見てもらってたって言う、七星士か?」
……バレバレでしたか!?
慌てたのか、つい目線をそらす。
それが肯定と捉えたのか、押さえつけてる腕に力が入った。
「うっ……!痛い、んですけどっ……!」
「同じ日だったんだろ……」
「……え?なに?」
鬼宿の顔が苦痛に歪む。
なんで?なんでそんな顔に、なってるの?
「オレと美朱が会った日と、奏多が他の七星士と会った日……同じ……なんだろ」
いや、同じだろうが何だろうが、あなたと美朱は出会う運命……
「もし、オレが先にお前の前に現れてたら……!」
いやいや、待って!
何を唯と同じこと思っちゃってるの!?
「た、鬼宿クン……落ち着こうか。1回、起き上がって、ね?」
「嫌だ」
駄々っ子………!?
「お前、言ったよな。真剣に想いを告げてる相手に何で冷たくしてるのかって」
「や、あれは……」
「冷たくしねェよな?」
……揚げ足取られた!!
待って、嘘でしょう?
え、だって……あなたには……いるじゃない。
「美朱ちゃんは……?」
「だからなんでいつも美朱が出てくるんだよ」
「あなたたちは……!!!」
愛し合う仲なのに……!
鬼宿に違和感があったのはこれだったのか。
鬼宿から……美朱への愛が感じられない。
「美朱ちゃんのこと、好きじゃない……の?」
答えを、聞きたくなかった。
私の知る、この世界が……わからなくなりそうだったから。