ふしぎロマンス4~狂う歯車~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「黄龍の巫女……?私が?」
星宿とベッドに膝を突き合わせるかのように横並びで座る中、私は震え出す唇を動かした。
「あぁ。文献もあったはずだ。あとで見せるとしよう」
「待ってください……!私は巫女にはなれません」
「選ぶのは黄龍だ。そなたは黄龍に選ばれたのだ」
「違います!」
話がすごいことになりそうだったから、声を大きくして止めた。
星宿は声を発することをやめ、私を見た。
「何故そう思う」
「巫女は……美朱みたいに若い子がなるものでは……?」
「そなたも十分ではないか」
「まさか!私……」
星宿の目を見ていられなくて、顔をうつむかせる。
この世界で……自分の年は言いにくい。
みんな、若いから。
「私、あなたよりうんと上なんです」
「うんと、とは……」
「28……なんです」
長い間沈黙が過ぎていった。
こういう時は何かしら反応が欲しい。
チラリ、と盗み見ると、星宿らしからぬ驚いた顔をしていた。
か、顔が崩れてる……!
「ほ、星宿……さま……?」
「まさか……まさかこんな人がいるとは……」
「へ?」
「幼く見られたりは……しないのか?」
「はい?」
「自分の顔を見たことは?鏡を持ってこさせようか?」
「はいー!?」
星宿が狼狽えている。
いやそんな、顔くらい見たことあるけど……
「コホン、失礼。あまりにその……年上には見えていなくて」
「えっ」
……それこそ有り得ない。
はっ、それともあれか。
「メイク……してないから……?」
そうだ。
この世界に来てから、恥ずかしながら化粧をしていない。
スキンケアだって全くと言っていいほどだ。
最初はそれで……気になっている時もあった。
でも、あの時……
水に映る顔を見て悩んでいると、井宿はこう言った。
“オイラはそのままの顔が好きなのだ”
あの時は日頃、お面をつけてる井宿が何を言うんだと思ったけれど、その言葉のおかげで特に気にすることはなくなった。
そもそもメイク道具すら、買う余裕もなかった。
「ふふ」
「何か思い出しているのか?」
「あ、ごめんなさい。話してる最中に」
「よい。そなたは笑っている方がいい」
その顔で言われたら自然と顔が熱くなる。
目線を泳がせながら、星宿に言った。
「え、えぇと巫女になれない理由なんですが……星宿様」
「うん?」
「巫女は清らかでなくてはならないでしょ?」
「………!」
「さすがに……この年でそれはない、です」
「そ、そうか……」
今度は星宿が目を背ける。
口元に手をやり、軽く咳払いをした。
「それでも、そなたには黄龍の力が宿っているように思える」
「黄龍の力だったら……私は役に立ちますか?」
「なに……?」
「私、護りたいんです」
「何を護りたいのか教えてくれるか?」
「……あなたを」
「…………」
私が真剣な声色でいいもんだから星宿は僅かに目を開いて首を傾げた。
「私を、か?」
「はい。巫女を護るあなた達、七星士を……私は護りたいんです」
星宿は、わかってくれた。
私が七星士を護りたいと言った時は、とても不思議そうだった。
「そなたは、ここに来るまで七星士と一緒だったと言っていたな」
「はい」
「その者はまだ我々の前には現れたくない、と?」
「いいえ。時が来れば会えます。でも、七星士は巫女が自分で見つけなくてはならないのでしょう?」
「そのように書かれてあった」
「だから私とは一緒に来れなかったんです」
とても良くしてくれたことを話した。
井宿と言う名は伏せて。
「私は彼に恩があります。このままなら彼は七星士として巫女のそばにいてくれる人になります」
「そうであろうな」
「星宿様、どうか私も仲間に加えてください。巫女を護ります。力はすべてあなた方に捧げます」
「そなた……そこまでして、どうして……」
「それが、私がこの世界に来た理由、だと思うから」
やっとわかった。
ここに来たのは……
みんなを護るため。
護らせてくれるなら……
あなたたちのそばにいさせて。
ごめんね、井宿。
すぐに戻るって言っていたのに。
井宿の言う通り、すぐには戻れない。
でも、必ず会えるわ。