ふしぎロマンス25~明日はあなたと~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「井宿。あたし、お願いしてみるよ」
「美朱……?何を……」
「朱雀への願い事。あと2つ残ってる」
「美朱ちゃん……!何言って!」
そうか。青龍を封印したのは黄龍だから……美朱にはあと2回残っているんだ。
だからと言って、大切な願い事……。
「あたし、透さんと約束したんだ」
「や、くそく……?」
ーー奏多がなんと言おうと、2つ目の願いで井宿の転生を願ってほしい。
ーーどうせ素直になりっこないから、頼んだよ……美朱。
「透くん……」
「だからあたし、願うよ。井宿がどうしても奏多さんの世界が嫌だって言うなら別だけど?」
「……………」
「井宿……いいのよ、無理……しないで」
ホントは離れたくないけど。
「あなたは謎が多いけれど、この世界にも思い入れがあるだろうし」
それでも、離れたくないけれど。
「またひょっとしたら夢で会えるかもしれないし……」
夢だけじゃ嫌だけど………。
「だから、若くて綺麗な人でも見つけて……」
あ、想像したら、だめだ。
「しあわせ……にっ……」
こんなのは、うそ。
「君はバカなのだ」
「っ………」
「そんなに泣いて、言ってることと思ってることがバラバラなのだ」
「井宿……っ……だったら……気づいてよ……!」
「気づいてるのだ……気づいているから……迷っている」
「何を、迷ってるのよぉ……」
「オイラで、いいのだ……?」
「何言って……」
「教えて欲しいのだ。本当に……俺で……」
「あなたがいい……!あなたでなくちゃ、だめなのに……!」
腕が引き寄せられた。
あっという間に、私は井宿の腕の中にいた。
「ち、ちり……?」
「正夢に、なったのだ……」
「え……?」
顔を上げると、優しくその目を細めて見つめられた。
「正夢って……?」
「幸せな夢を見たことがあると」
「え、ええ。聞いたことがあるわ」
「君が今の言葉を言う夢。俺の、願望」
「井宿……」
「俺も、君でなくちゃダメなのだ」
「っ………」
「君が嫌と言っても離れてやらないのだ」
「うん……うんっ」
井宿が私を抱き上げる。
ふわっと足元が浮いた感覚に、思わず井宿の頭に抱きついた。
「……井宿、前髪くすぐったいから」
「くしゃみでも出そうなのだ?」
「あ、そんな事もあったわね」
「あーあ、ほんと損な役よねェ、あたし達……」
「ホンマやな」
「結局見せつけられてンじゃないのよ」
「ここまで来ると鬼宿と美朱よりもタチが悪いな」
「オイオイ!軫宿。なんだよー、オレ達が何したって……」
「まあまあ、2人を祝福してやろうではないか」
「さすが星宿様ですわ!私はそんな星宿様一筋ですわ」
「ははっ、そうか」
そうだった。
みんな、いるじゃないの。
「奏多さん、今すごく幸せそう」
「美朱ちゃん……」
「もう会えないのかな……違う世界なんだよね」
「……美朱ちゃん、1つ予言しようか?」
「うん!教えて!」
私は思い出す。彼女達と、みんなのこれからのこと。
若干、私の記憶していることと違うから確かなことは言えないけれど……それでも、これは言える。
「美朱ちゃんと皆は、ずっと繋がってる」
「奏多さん……」
「どんなことがあっても、美朱ちゃんは乗り越えられるの。“愛”がそうしてくれるのよ」
安心して。あなたは鬼宿と幸せになる運命。
「ありがとう……ありがとう、奏多さん」
美朱が、胸の前で手を組む。
「開神」
気づいた時には井宿が私を抱き寄せた。
「一緒に……君と生きていきたいのだ」
「井宿……」
私もよ。一緒に……ずっと。
叶うことなら……。
「お幸せに!」
「張宿……!」
「井宿に嫌気さしたら、オレのとこ来るんやで!」
「あたしのとこでもいいわよー!」
「翼宿っ……柳宿!」
「奏多を頼んだぞ。幸せに。これは王命だ」
「星宿……」
「あまり無茶はするな」
「軫宿……」
みんな一言ずつ言ってくれて……これじゃまた泣いちゃうじゃない。
「お前は1人じゃないぜ。忘れんなよ」
「鬼宿……美朱ちゃんを、よろしくね」
「おう!」
美朱がにこっと笑うと、声高らかに告げた。
「朱雀、お願い!奏多さんと井宿が2度と離れないように……永遠に幸せにして!」
美朱の力強い声が聞こえた。
紅い光が私と井宿を包み込む。
お願い。
どうか井宿と一緒に帰して!
でも。
確かに抱き合っていたというのに……
目を開けると彼は……
どこにもいなかった。