ふしぎロマンス25~明日はあなたと~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「……終わったの………?」
美朱が呟くと、あたりが何とも不思議な空間へと変わった。
「異空間に……転移した?」
あたりを見た井宿がそう呟いた。
「青龍は、この巻物に封印されました」
どこからともなく聞こえてきた声に、私たちはハッとした。
それは間違いなく……張宿の声だった。
「張宿ォ!?お前……なんでっ」
「ほ、星宿様!!」
翼宿と柳宿が驚くとともにその人たちの名を呼んだ。
「星宿……」
「美朱、また会えたな」
目の前に、あの2人がいる。
救いたかった。張宿も、星宿も。
「美朱……」
「鬼宿!?」
さらに奥。気まずそうに鬼宿が現れた。
美朱が駆け寄って抱きつく。
「た、鬼宿が死んじゃったー!!」
「死んでねェ!!生きてっから!!」
「へっ?」
美朱がペタペタと鬼宿を触る。
「なっ?」
「ほ、ほんとだ……」
「こんの……どアホ!!ぬぁにが“なっ?”や!!お前、出方が悪いねん!!」
「ホントだわ!!一体、今まで何してたのよ!!」
「わ、わりぃ……気ィ失っててよ。気づいたらここに……あれ?心宿は?」
「おバカ!!肝心な時にいないでどォすんのよ!!」
うん、確かに。
でも、みんな揃った。
嬉しい。それなのに……。
「っ……」
みんな、ここで会えただけでも嬉しくて喜んでいるのに私が泣いてはいけない。
でも、止めることが出来ない。長い翼宿の服の袖で、私は顔を隠した。
「奏多……」
井宿が私の背を押して、2人の前に連れ出す。
「奏多さん」
「泣くのではない、奏多」
2人が私に気づいて声をかけてくれた。それだけで、嗚咽がもれそうになる。
「ごめ……んなさい……護れなくて、ごめんなさい……っ」
「何を言うのだ。そなたは充分この国や美朱、我ら七星士のために動いてくれたではないか」
「僕、あなたの中にいて、知りました。僕達を愛してくれてありがとうございます。不思議なことってあるんですね。でも僕は、あなたとお会いできて嬉しく思います」
星宿……張宿………。
「そなたと透を我々の世界に巻き込んでしまった。透のことを思うと……胸が痛い」
透くん……。
あなたは今、黄龍の中なの?
あなたはもう……私の元へは来てくれないの?
「奏多……透から……言伝(ことづて)を預かっている」
「え……?」
言伝……?
井宿が私を真正面から見つめてくる。
「愛してる。幸せに……と」
あい、してる………。
それを井宿から言わせるなんて。
透くんったら……。
「ちょ、ちょっと……本気で伝えたわよ……」
「ホンマやな。オレやったら、絶対言わへんな」
「あー、だからアンタじゃダメだったわけね」
「なんやとー!!お前かて実らへんやったなあ!だはは!!ぐえっ……!ぐ、ぐるじ……」
翼宿が柳宿に羽交い締めにされていた。
「言わなきゃいいのに……何をやってるのだ~」
そっか。私も、ちゃんとしなきゃ……。
「井宿。それから、柳宿に翼宿」
今、言ってもいいのかしら。
でも。今ならまだ、彼も聞いていてくれそうな気がする。
「私………」
この世界でこんな思いをするとは思わなかった。
本気になる人ができるなんて……。