ふしぎロマンス24~情の証~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「朱雀……七星か」
「その通りや!仲間まで手にかけようなんぞ、なんちゅーヤツや!」
「あんた!奏多を放しなさいよ!!」
心宿が小さく笑った。この笑い方をする時は……やばい時だ。
「だめ!!みんな、逃げて!!」
言うよりも早く、心宿が“気”を彼らに向ける。今度は、唯以外全員の動きが止まった。
「なに、これ……」
「動け……へん」
翼宿と柳宿は立ったまま、軫宿と美朱はうずくまる井宿に手を貸したまま、動きが取れずにいた。
そして、角宿までも……。
「唯様、片付くまでそうしていてください」
悠然と心宿は唯を浮かせ傍らに寝かし、神々しく結界を張る。
遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。この街中で起きている騒ぎに、世の中が慌て始めている。
「耳障りな音だ」
「な、心宿!待っ……!」
止める間がない。心宿が手をかざすだけで、ものが吹き飛ぶ。
「やめて!!関係の無い人まで巻き込んでどうするの!?」
「相変わらず煩い声だ。貴様はいつになったらそそる声を出す」
「あのねぇ……!そんなの……」
くわっと体を捻って言い返そうとした。でもそれはすぐに顎を掴まれて、これでもかと言うくらいに首を捻られできなかった。
痛いっ!
そう思った時には……心宿の顔が間近にあった。
「あの時のように、いい声を出してみろ」
「!?」
呟かれた声とともに、心宿の唇が私の口を塞いでいた。
「んっ!?」
「奏多……!」
な、何が起こっている!?なんてことをしてくれちゃってるんだ!?
離れたい。今すぐに!!
それなのに両手は後ろでがっちり押さえ込まれていて、顎は掴まれていて首が固定されている。
う、動けない……!
「おい!!やめんか!!」
「奏多!!逃げなさい!!」
……逃げられないんだってばぁ!
彼らもまた、心宿の術によって動けずに見せつけられている。
これだけでもう、羞恥心に苛まれて嫌だというのに心宿は容赦なかった。
執拗に唇に吸い付いてくる。何度も角度を変えては、口をこじ開けようと刺激を与えてきた。
開けない、開けてやるものかあ!!
ふっ、と手が解放された。
やった!と思った時には後ろから羽交い締めにされた。
ちゅ……と音をさせながら、心宿は唇を放した。
「な、心宿……何のつもり……何が目的なの!?」
「あの者達は知っているのか?お前の肌が、如何に柔らかく、吸い付いてくるか、を」
「っ……!!」
なんてことを言い出すんだ!そしてどこに手を入れている!?
「放してっ!!」
「そう嫌がるな。お前に触れていると力がみなぎってくるのでな」
心宿の手が合わせ目からスルリと入る。
「うっ……い、いや……」
無意識に嫌悪感が生まれて涙が滲む。視界が歪む。
「……や、めろ………」
今の声は……井宿?
絞り出すような声。確かに……聞こえた。
「ち、井宿……」
大きな手のひらが鎖骨を撫でる。体をよじると、さらに手は中に入ってきた。
「や、やだ……嫌だ!!助けて!!」
無我夢中で叫んだ。目の前にあなたがいる。見られている。
あなたもなんて辛そうな顔をするの。
嫌だ。あなたを傷つけたくはないの……!
「やめろ……触るな!!」
「井宿……!」
「触るなァァアーー!!!」
懇親の叫びが聞こえた。あそこまで行けたらいいのに……!
私が行きたいのは……あの人のところ……!!
ぐらぐらと地面が揺れだした。頬を風が吹き抜けていく。
「……この、風………」
「く……っ」
心宿の手が緩んだ。
変だ。こんなにもすんなり放すなんて。
それに今のは、確かにくぐもった声……。
「心宿……?」
空いた隙間によって体を反転させる。同時にぐらり、と傾いてくる心宿の体。
「心宿!?」
手を広げて受け止めようとしても、その体は大きすぎて、どさりと尻餅をついた。
一瞬、背中に回った手にぬるりとした感触があった。
「血……?」
一体、何が……。
「約束を破るからだよ。心宿」
一際、冷たい声が降り注いだ。その声の方を見上げると、風を身にまとった……無表情の透がいた。
その傍らには、悲しげな顔をする房宿もいた。