ふしぎロマンス3~再生の力~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「な、なん、なんだっ……」
「さっきから追いかけてくるのよ」
顔を近づけてコソッと呟いた。
「あなたに頼るのは不本意だけど追い払えない。知り合いのフリして。ああいうのって男と一緒にいれば諦めるでしょ」
「……いいけど……要はあいつらをやっつければいいんだろ?」
「あ、あの人たち素人よ!あなたにやられたら死んじゃう!」
「じゃ、どうしろって……」
このやり取りを見ていたのか、男達が近づいてくる。
鬼宿は、ぐい、と引き寄せると庇うように私を包み込む。
ありゃ、意外とたくましい。
って、違う違う。
「んじゃ、見せつけてやればいいか?」
「え?」
「来いよ。ここじゃ目立つ」
「え??」
鬼宿は私の肩に腕を回し、引き寄せて歩く。
んん??なんかスイッチ入った?
戸惑いながら顔を向けると楽しそうな顔をしている鬼宿がいる。
さらに少し道の奥に入ったところで、事もあろうか、鬼宿は私を壁に押しやった。
「ちょっ……」
「しーっ」
鬼宿はチラリと男らを確認すると、ニヤリと笑いながら顔を近づけてきた。
傍から見たら……キスしているように見えるだろう。
「ちっ、ヤロー連れかよ」
「行こうぜ」
男達が去っていくのがわかった。
ぐぎぎぎぎ…………
「いてェな……」
「だったら離れてよ」
あの時、顔が近づいてくる中、咄嗟に手を間に入れ、今もなお鬼宿の顔を押しまくっていた。
「……お前なぁ……ホントにするわきゃねェだろ」
「どうだか」
美朱とのキスシーンをかなり本で見た記憶がありますけど、とは言えない。
「でも、助けていただきありがとうございました。じゃ」
「あっ!」
ペコ、とお辞儀をして脇をすり抜ける。
……すり抜けたはずだった。
「なんで頭を掴まれてるの、私」
「消えられちゃ困るからな」
「は?」
顔に少し力を入れて動かし、鬼宿を見る。
屈託のない笑顔がそこにあった。
「オレ、お前のこと探してたんだよ」
「……え」
「いやー、逆に声かけられて運がいいなー、オレ」
その瞬間、逃げ出そうとした。でもやはり、ガシッと掴まれる。
頭はやめて。痛い。
「で?なに。消えないから離してくれる?」
「信じられねェな」
「ほんとだって!私、そんなこと出来ないもの」
「だって柳宿が大騒ぎしてたんだぜ?」
「あ、そーですか」
いきなり目の前で見たら……そりゃ騒ぎたくもなるだろうけれど……
あぁ、井宿を巻き込んでしまうのは困る。
「なぁ、お前、名前は?」
「名乗るほどでも……」
「オレは鬼宿。って、どうせ知ってンだろ?」
「…………」
鬼宿は、どうして私を探していたのだろう。
あの時、柳宿には七星士ではないと言ったけれど、信じてもらえなかったというわけか。
護りたい。
だけど……
思い浮かぶのは井宿の顔。
今、鬼宿と話してもいいのだろうか。
きっとまた私はいけないことをしている。
鬼宿は頭から手を下ろした。その隙を突き、私は……
一気に駆け出した。
「あっ!ちょっ……待てって!!」
待てと言われて、待てるか!
後ろを振り向かずに通りを走る。
息が上がる中、追いかけてこないところを確認すると、私は足を止めた。
「ハァ……疲れた」
「だったら逃げるなよなー」
「……わぁ!!!」
シュタッ、と目の前に飛んできた。
いや、たぶん、屋根の上から降りたんだ。
……身体能力、高すぎ…………。
「なぁ、なんで逃げるんだよ」
「わ……私、忙しいの」
「なんか用事あるんなら手伝うぜ?」
「いえ。結構ですから」
「ちぇ、ツンケンしやがって」
聞こえてるって。
これでいい。2回も会ったんだ。
この辺にしておかなくては。
今度はちゃんと井宿と一緒に会おう。でも、鬼宿は逃がしてくれなさそうだ。
隙がない。
「なぁ、名前」
「しつこい」
「いいだろ、名前くらいさ」
どうしたら、と本格的に悩み始めた時だった。