ふしぎロマンス23~護りぬく思い~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「……行くわよ」
透が去ってから、すぐに柳宿は馬に跨った。
「柳宿っ」
その馬に近づいて柳宿を見上げる。
なんと声をかけたらいいのだろう。こんな時、なんと言ったら……。
「あの……」
「……悪かったわ。あんたに八つ当たりして」
「柳宿………」
「あいつ、言ってたわね。“俺たちがいてもいなくても”星宿様は亡くなってたって」
「…………うん」
「よくよく考えたら、あんたはずっとあたし達に教えてくれてたものね」
「柳宿………」
「奏多。確かに悲しいわ。でも……星宿様はずっと泣いてて欲しいとは、思われないと思うのよ」
……柳宿………。
なんて強くて綺麗なんだろう。
「あたしも……もし死んでたらそう思うわ。泣いて欲しくないわ。死んだからって、泣かれてばかりいたら嫌よ」
「……っ………うん、……うんっ、そうね……」
そう言われているって言うのに、私の目から勝手に出てきてしまうの。
「だから……悪かったわ。あんたに救われたっていうのに死んだ方が良かった、なんて言って」
「……ううん、柳宿……大丈夫……っ」
「ああもう……あんたに泣かれると弱いのよね……あたし」
「ごめ……」
「早く、星宿様のところへ行きましょ?」
「……うん」
目を袖で拭うと、井宿がそばに馬を連れてきてくれた。
「乗れるのだ?」
「……もちろん。後ろで大丈夫よ」
ぐ、と目に力を入れた。
私だけ泣いてなどいられない。馬に跨ると、井宿にしがみついた。
宮殿に向かう途中、透が言っていた通り簡易的ではあったけれど、棺が鎧を身に纏った兵に運ばれていた。
そばに行くと彼らは立ち止まり、嗚咽を漏らした。
「陛下が、いらっしゃるのね……?」
柳宿がそう聞くと、1人の兵が小さく「はっ」と答えた。
他の兵が蓋を開ける。
柳宿をはじめ、翼宿と軫宿も中を覗いて、再び肩を震わせた。顔をわずかに逸らし、悲しみに耐えている。
「……見て差し上げるのだ」
「井宿……」
そっと背中を押された。足取りが……重い。
でも、彼を見なくては。彼の勇姿を……。
この場にいない、見たくても見れない、美朱の代わりに。
「星宿っ……」
鎧をまとっていたはずだろうに、彼の服はボロボロだった。
心宿の気弾の威力の強さが、壊された鎧、破けた服から想像を絶するものだとわかる。
「星宿……ごめ……ごめんね……」
今だけ、悲しませて。
これからすぐ私たちは美朱の元へ行くから。
ちゃんと美朱を護るから。
「奏多……星宿様の体、綺麗にできないかしら」
「……ええ……私も、そう思っていたところよ」
涙で頬を濡らす柳宿に微笑んだ。
「星宿……少し触れるね」
私は声をかけると、そっと星宿の鎧に口をつけた。
「星宿様……」
怪我が治り、服も綺麗に戻ると、本当にただ眠っているかのようだった。
こんな思いはさせないはずだったのに。
「行くで。オレらは星宿様の意思を継ぐんや」
「そうだな。美朱を護らねば……」
「宮殿に、戻るわよ」
私たちは宮殿に向かった。
「これからのこと、わかる限りでいいわ。話してちょうだい」
柳宿が声をかけてくる。
私は大きく頷いて、これから美朱の世界に行かなくてはいけないことを伝えた。