ふしぎロマンス23~護りぬく思い~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「うそ………聞こえ……もう、聞こえてないの………?」
彼らはじっと歯を食いしばって涙を流し続けていた。
「……うそ………」
私はどうしてここにいるの……。
何をして………なぜ星宿を助けられずにここにいるのっ!!!!
「あ、あたしが……星宿様に知らせるように言ったのよ……」
我を忘れてしまいそうになるところに、柳宿の消え入りそうな声が聞こえてきた。
知っている。
柳宿が攻児にこの現状を報告してと頼んだこと。柳宿が1人で、懸命に頑張ってくれていたことを!
「……柳宿っ」
馬から滑り降りる。そのままコケそうになりながら柳宿に駆け寄った。
「柳宿……っ」
「あたし……なんてことっ……ねェ、あたしがいなければ星宿様はご無事だったんじゃないの!?」
えっ……。
そんな……違う。違うのよ……。
「おい!!それ以上言うたらぶん殴るぞ!柳宿ォ!!」
「違うっていうの!?あたしがあの時、死んでたら……!」
「ッ……よせ、柳宿!奏多が聞いているのだ!」
「っ……だって……そうでしょう……?」
「……柳宿……そんなこと………」
ペタン、とその場にお尻をついた。
井宿が私の肩を支えた。
「柳宿……」
「奏多……あんたには悪いけれど……あたしにとっては星宿様が亡くな……っ……亡くなられる方が………つらいっ……!」
「っ……」
柳宿の言葉に誰もが目を伏せる。
悲しみに満ちた顔。この国で一番尊く、愛されていた人の死。
私はそんな人を……救えなかった……?
「ごめ……んなさい……」
「奏多……違う。君のせいでは……」
「私のせいよ!!知ってたんだから!!張宿の時だって……!」
……そうだ。
張宿……張宿の時みたいにしたらいい。
よろ、と立ちが上がった。
「……どこ行くんや!?」
「星宿の所に行かなきゃ……体に、入ってもらうの」
まだ諦めない。
諦めなかったらきっと……。
でも、この思いはビュウっと舞い上がった風に遮られた。
この風は……。
「君の気がするからと、半信半疑で寄ってみたけれど……やっぱり君だった」
頭上から、彼の声が聞こえた。
「どうして戻ってきたの。……そんな姿になってまで」
「透、くん……」
彼の登場に、3人は一斉に警戒態勢に入った。
私の前に翼宿と井宿が立ち塞がり、軫宿が私を抱き包む。
「何しにきよったんや!」
「そんな仲間を失ったくらいで精魂尽き果ててどうするんだ」
「なん、やて……?」
「しかも奏多を責めるなんて……柳宿、君にはガッカリだな」
彼の言葉に、項垂れて座り込んだままだった柳宿が顔を上げた。その目はきつく透を睨みつけていた。
「あんた……自分が何言ってるか、わかってんの……?」
「星宿が大事?」
「当たり前じゃない!!」
「それじゃあ君は、星宿は生きていて欲しいけれど、軫宿は死んでも良かった。そう思ってるの?」
「なっ!そんなこと思うわけないでしょ!!」
透くん……何言ってるの……。
柳宿を傷つけるようなこと……。
「あんなに奏多に悲しい目をさせて……君の方が言葉に気をつけるべきだ」
「だから、なんの話よ!!」
「いいかい?彼女が……奏多が!星宿を助けていたら、確実に軫宿は死んでいた!!そういう事だ!」
「っ………」
そう透が大声を出すと、柳宿はぐっと言葉を呑み込み、代わりに軫宿が体を強ばらせた。
私の肩に触れる手から伝わる。
「……だからと言って、軫宿、君が自分を責める必要は無いよ。本来なら奏多はここに戻ってこなかった。つまり……」
「俺も死んでいたはずだったわけか」
「軫宿……!」
顔を見上げれば、眉をきゅっと寄せた軫宿の目が見える。
「透くん!もうやめて!私がすぐに動いていれば間に合ったわ!!いいえ、そもそも心宿を思い止まらせていれば……!」
「奏多、そんなことは今更だ。それを言い始めたら、俺はもっと前からやり直したい」
「透くん……」
「いいかい。軫宿と星宿は死ぬ運命だった。俺達がいてもいなくても。なのに君が戻ってきてしまった……しかも君は既に黄龍を取り込んでしまっている。そう……だよね?」
「……ええ」
髪と目を見られれば一目瞭然だ。
同じ依り代なのだから、彼にも黄龍の気がわかるだろう。
「……君はなんてことを……あのまま戻ればよかったのに!」
「透くん……?」
「透!何か知っているのだ!?」
「……知ってるよ。だから俺は星宿の御霊(みたま)を取り入れた」
……え?聞き間違い?
誰の、何を取り入れたって言ったの……?