ふしぎロマンス22~呼びかける声~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「井宿、翼宿。あなた達、お札持ってる!?」
「札?持ってるで!」
「オイラもここにあるのだ。しかし、それが……」
「それでこの中に入れるかもしれない!」
「この中?お前、何言うてんねん。こんな紙の中、入れるわけ……あらへんやろ……オレら……オレらは……」
「翼宿……」
彼らは薄々気づいていた。でも言葉にする勇気がない。私も……彼らも。
「翼宿、あのね」
「待てや。変なこと、言うんやないで」
「翼宿……」
「オイラと君とでは、違うのだ?」
「井宿……」
「同じ人間では……ないのだ?」
井宿まで顔が強ばっている。
そう、だよね……。
本の中に、それも架空の人物として描かれているだけなんて……信じられないよね。
私もよ。
こうして直に会って話せるし、触ることだって出来るのに、どうしてあなた達が架空の人だと言えるの?
「不安に思わないで。あなた達はちゃんと生きている」
「……せや、けど………」
「お願い、翼宿。今は……あなた達の世界に戻ることを考えましょう。札を握りしめて強く念じて。柳宿と軫宿、星宿も持っているのだから思いは届くわ」
「……翼宿、やってみるのだ」
「お前は!?お前は持っとるんやろな!?」
「それが……服が変わってるから……」
「あらへんのか!?」
先程からポケットをゴソゴソと探してはいる。
でもどのポケットにも入っていない。
「もっとよく探せぇ!」
「う、うん」
絶対持ってるはずだ。
あんな大事なものを置いてくるわけがない。だって……まだ手首には数珠がついている。
ブラウスをスカートから出して飛び跳ねてみた。
どこかに挟まってないかしら。
カサ……
「あ」
「ど、どないした!?」
「今どこかで音がした!どこ!?どこに……!」
スカートのファスナーを下ろした。
その時だった。それはまさかのストッキングとショーツの間に挟まっていた。
今の今まで忘れていたが、例の依り代の証とされていた腰の部分の模様のあるところだ。
まさか黄龍がここに?
「こんなところ気づけるわけ……!」
「おまっ……」
すかさずお札を抜き取ると、硬直している翼宿がいた。
……あ、いたんだった。
真っ赤な顔をした翼宿と、眉間をきゅっと寄せた井宿がこちらを見ている。
……しまった。
「……今のは見なかったことに……」
「無理なのだ」
「だよねー……」
「早く着直すのだ」
「………ハイ」
静かに言われると余計につらい。
そそくさとブラウスを中に入れて、ファスナーを上げる。
「よ、よし!これで、よし!!」
「ええわけあるか!」
「君はオイラ達の存在を忘れやすいのだ」
「そんなことより今はどうなった!?」
「……柳宿が移動して、村人達の治療にあたっているのだ」
「み、軫宿も!?」
「そうなのだ。心宿の気弾を少なからず受けたというのに……休ませないとダメなのだ」
そうよ!だめよ!!
本を井宿から受け取る。
軫宿……だめよ。
本当にあなた……本当にだめなの!
「……赤ん坊が来たで!」
「!」
軫宿の元に、赤ちゃんが連れてこられる。
まずい。赤ちゃんの名前に軫宿が気づいた。
「だめ!軫宿!!やめて!!」
札を握りしめる。
お願い、間に合って!!
お願い!!彼らのところへ、連れて行って!!
「くそっ……なんも起きへんで!?」
「軫宿……柳宿が止めに入っているのだ!」
「おい!柳宿!!聞こえへんのか!!」
「止すのだ!軫宿!!」
だめ……!やめて……!!軫宿、力を使わないで!!
能力のない状態で気を与えては……あなたの身が持たない!!
どうして、こういうときは導いてくれないの!!
札がここにあるってことは、戻れるってことなんじゃないの!?
あなたはいつも私のそばにいるって!あれは嘘なの!?
黄龍ーーー!!