ふしぎロマンス22~呼びかける声~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「んなっ!!なんってこと……!!」
「今度はどないした!?」
「神聖な……タイトルが……!!」
「これは前に美朱からもらった“写真”というものなのだ?」
2人が私の手元を覗き込む。見られている中、恐る恐る中を開いてみた。
「「「!!!」」」
「オ、オレらがいっぱいや……」
「何か書いてあるのだ。………読めないのだ」
「何これ……なんで……」
「奏多?」
……ち、がう。
「これは……違う………」
「何言うて……」
ペラペラと捲る。
最初に朱雀を召喚しようとした所だった。
でも見たことがない。私が……読んでいた本と違う。
この本には間違いなく、“私”が描かれていた。
「柳宿にこないして叩かれたんか……」
「……う、ん……張宿じゃないって知ってたのに言えなかったから」
「せやかてそれ……言えへんかったことや」
「オイラ達が亢宿を追いかけているところもあるのだ。こんなに精密に……」
私がやってきたことがここに描かれている。
これが私にとっての……“四神天地書”というの?
だったら……“今”は!?
他の本に手を伸ばす。“今”が描かれている所は……どこなの!?
「………ぁ……」
見つけた……。
「おわっ!?な、なんか浮き出てきよるで!?」
翼宿の言う通り、そこは今まさに描かれ始めていた。
「柳宿と軫宿なのだ!」
「心宿と戦っとるで!奏多、なんて書いてあんねん!こいつら、なんか叫んどるで!?」
「柳宿……」
彼らはあの後、城壁を必死で守っていた。それでも勢いを増した倶東の軍が攻め込む。
私は震えそうになる声を抑えて本に目を向け、そこに描かれてある事を口にした。
「なんだって翼宿や井宿まで消えちゃうのよ!!あたしと軫宿だけでどォしろって言うわけェ!?」
「柳宿、ここは危ない。一旦、離れ……っ、柳宿!!」
「!!!」
はっ、と思わず本を落としてしまう。
まずい。今……軫宿が負傷した。
「お、おい……これ……嘘やろ……?」
「軫宿……軫宿はどうなったのだ!?」
井宿が慌てて本を拾い上げる。パラパラと急いで捲った。
「翼宿!見るのだ!助けが来たのだ!」
「助け?誰が……て、攻児!?攻児やんけ!!」
「君の仲間なのだ?」
「ああ!山の仲間や!あいつら来よったんか……なあ!攻児のやつ、なんて言いよるんやっ!?」
「軫宿……」
「なっ……お前、顔真っ青やで……」
「奏多、大丈夫なのだ!軫宿なら大丈夫なのだ!!オイラたちはこちらの言葉は読めない!君に読んでもらわなくては、わからないのだ!」
井宿が本を見せてくる。
「あ……ごめん……こ、攻児はね……」
「奏多……」
まだ心臓がドキドキしている。
だめよ。このままだと軫宿が危ない。
「お前さん!あん時のオカマ!?」
「なんて覚え方してくれちゃってンの!?柳宿よ!!」
「幻狼はどこや!?ここにおるんかと思て来たんや!」
「幻狼?誰よそれ。今それどころじゃ……」
「なっ……!お前さんらの仲間になったやろうが!オレのマブダチや!お前さんらの言う名前やと“翼宿”や!」
「ああ!それを早く言いなさいよ!翼宿は奏多と消えたわ!」
「なんやて!?あいつがこんな状況放ったらかしにして消えるかい!!」
ここまで読み終えると、翼宿が勢いよく立ち上がった。
「アカン!あいつが来てくれよったのに……オレは……っ」
「翼宿……」
「奏多!また続きが現れたのだ!」
井宿に呼ばれて本に目を向けた。
「それよりもあんた!」
「なんや!攻児や!」
「そういう名前だったわね。攻児、今から陛下の元へ行ける!?」
「な、なんやて!?皇帝陛下!?」
「あたしは軫宿をどこかで休ませるから行けないのよ。陛下に今の状況を伝えて!翼宿と井宿が奏多と、鬼宿は美朱と消えたって!」
「せ、せやけどそう簡単に皇帝陛下にお目通りできひんて……オレは七星士ちゃうぞ」
「会ってるわよ!?忘れたと言わせないわ!あんたの仲間が綺麗な姉ちゃんと思い込んで酌させたでしょ!?」
「………ま、まさか……」
「そーよ!星宿様が陛下よ!!あなたなら通してもらえるわ!!」
柳宿……すごい。
こんな状況で、軫宿は負傷して……他に七星士はいないのに……。
私が貴重な2人を連れてきてしまったから……。
……戻さなきゃ。この2人だけでも戻さなくては。
でも、どうやって……。
「軫宿も大丈夫そうやな。お前の札、やっぱ役立つんやな」
「よかったのだ……まともに食らっていたら危なかったのだ」
軫宿は心宿の気弾を受けた。でもその気弾が身体に当たる瞬間、パァンと何かの力によって分散された。
その何かの力が、井宿の作ったお守りだった。
お守り。
全員に渡したという、井宿の気が注ぎ込まれたもの。
そうだ。
全員が……同じものを持っているんだ。