ふしぎロマンス22~呼びかける声~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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部屋に招き入れると、すぐに翼宿は電気に食いついた。井宿もその明るさをマジマジと見る。
「……しかし他の部屋は真っ暗なのだ。家族の者はいないのだ?」
「え?一人暮らしだもの。いないわよ?」
井宿の動きが止まった。
「1人?ここに1人で住んでいたのだ?」
「そうよ」
「君が!?」
「………失礼な言い方ね」
「ならば隣の扉の向こうには誰が住んでいるのだ?」
「え?確か~……若い男の人……いや、知らない人よ!」
「若い……?知らない男?」
「これが普通なの!あ、コラ!翼宿、勝手にウロウロしない!」
「せやかて初めて見るもんばっかりやで。狭いけどいろんなもんあるな」
「……狭い狭い言わないでもらえる?」
大の男が2人もいたらそりゃ狭くもなるわ。
……っと、そうしていられない。
早く探さなくては。
「あなた達そのへんに座ってて。ちょっと探し物してくるから」
「ど、どこ行くんや!?」
翼宿が腕を掴んでくる。
その必死さと言ったら……ちょっとかわいい。
「翼宿、隣の部屋だから。入ってもいいけど」
「また消えたらどないすんねん!ついてくで!なあ!井宿!」
「………翼宿、隣の部屋を見てから言うのだ」
「あ?」
そう言われて、私が少し開けたドアの向こうを見る。
「どわっ!!寝所やないか!?」
「……え、今そこに驚くの?宮殿でも私の部屋に入ってたじゃない」
「……確かに」
「……せやな」
「でしょ?もう、早く探さなきゃいけないのに止めないで」
翼宿の手を腕から離すと、中に入っていった。
クローゼットを開くとそこにドレッサーのイスを持ってくる。
「何をするのだ?」
結局、2人ともドアの向こうからこちらを覗いている。
「あれだけ好きだったんだもの。持ってきてると思うんだけど……どこにやったかしら。久しく見ていないのよ」
上を見て今度はイスに目を向ける。
よっ、と足をかければその上に乗り上げた。
「だから何をしてるのだ!?」
「探し物って言ってるでしょー?ちょっと思い出しながら探してるんだから邪魔しないで」
律儀にインナーボックスを使って整理している私を今は恨めしく思う。
一々引っ張り出して中を確認しなければいけない。
今度から中に何が入ってるか側面に書いておこう。
高いところにあるものを探すのに必死で、自分が今、タイトスカートなのを忘れていた。
彼らが徐々に頬を赤らめ、ハラハラとしている事にも気づかない。
「うーん……どこだったかなあ……」
「奏多!オイラ達が探すのだ!」
「えー、嫌よー。私物見られるじゃない」
「おま……そんなもんより、その丈どうにかならへんのか!?見るで!」
「君は何を言ってるのだ」
「いや、見て欲しいんかと思てな」
「そんなバカな話が……」
「あなた達、何の話……あ、あった!!この箱だ!!」
「よぉし、わかった!オレが取っちゃる!ええから降りてきてくれ!もう腕上げるなや!」
下を見れば、顔を背けながら私を降ろそうとしている。
「ふむ………重たそうだし……お願いするわ!」
「お、おおきに……」
お礼を言わなきゃいけないのは私の方なのに。
バトンタッチと言わんばかりにイスから降りると翼宿がそこに上った。
「何を必死になってたの?」
「その服は……脚が出すぎるのだ」
……あ、なるほど。
「や、やあね……それなら早く言ってもらわないと……ごめんなさいね、見苦しいもの見せて。でも生脚じゃないわ」
「……君は本当に世間の女子のような恥じらいはないのだ!?」
「もうあなた達が初心(うぶ)なだけじゃない」
「聞き捨てならん台詞やなあ」
翼宿がボックスを持って、スタッと降り立った。
なんと軽やかな。入ってるのを思えば相当重いのよ?
「その格好しとるだけでも見んようにしとる言うのに……おちょくっとんのか」
「え……?これ?いや、この世界では普通……」
「薄いんじゃ!!なんやそれ、ぺらっぺらでどんだけ小さいねん!!」
「あのねえ……スタイルよく見せるブラウスなの!大体、私の服も美朱ちゃんの制服と似たようなもの……」
って、そうだった!!
こんな話をしてる場合じゃない!
「翼宿!それ貸して!」
翼宿の持つボックスを床に置くと、その中から目当ての本を取り出した。
手に持った瞬間に、ふわっと何か温かな気がした。
「それはなんなのだ?」
「これは、ね……これは……」
そ、と表紙に手を置く。
「これは、あなた達の……物語を綴られた本、なの」
ついに言った。表紙に目を落とす。
そう。
タイトルはね……。
「ん?」
表紙に目が釘付けとなった。
タイトルが………どの本のタイトルも……、
“ふしぎロマンス”
になっていた。
……はあ!?どういうこと!?