ふしぎロマンス3~再生の力~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「井宿、今日は太一君の所に行くって言ってたよね?」
「だ。少し顔を見てくるのだ。奏多は何をするのだ?」
「町に行ってみてもいい?」
「構わないのだ。でも……」
「わかってるわ。力は使わない」
「それならいいのだ」
出かける準備をしていると、井宿も準備が出来たのか、錫杖に笠を持っていた。
「町まで送るのだ」
「って、瞬間移動!?いい!あれ、感覚が怖い!」
「だっ!?」
「井宿、太極山まで行くんでしょ?町とは反対なのよ?力の無駄遣いしちゃダメよ」
「別にこれくらい……」
「井宿だって力を使いすぎると疲れちゃうでしょ!?」
「……そんなヤワじゃないのだ。奏多と一緒にして欲しくないのだー」
「失礼ね!ともかく、歩いて行けるから、大丈夫よ」
「うーん……」
井宿は心配性だ。
特に危なっかしいことはしてないはずだけど、どうにも子供扱いされている時がある。
井宿……自分より年下とか思ってるわ、きっと。
若く見られて喜ばしいことだけど、実際の年齢を言ったらどう思うかしら。
いつからか年下扱いされてるのに気づいてから、余計年を言えなくなった。
実は28とか……この世界では完全に生き遅れだしね。
美朱あたりが適齢期だと知った時には心底落胆した。
もし……元の世界に戻れなかったら……私は生涯、独り身に違いない。
「くれぐれも、無茶なことは」
「しないって!行ってきます!」
「……ハァ、本当かどうか怪しいのだ……」
井宿に手を振り、町へと向かった。久しぶりに町に一人で行く。
家は町外れ。でもそんなに遠くはない。
30分もあるけば町並みが変わって、人通りも増えてくる。
確か、もう少し行くと焼きまんじゅうが売ってたはず。
井宿が美味しいと言っていたから、今日はそれを買いたいと思う。
しばらく歩いたところで、私は気がついた。
……先程から視線を感じる。それも2人ほど。
何あれ、あれで隠れてるつもり!?
完璧に存在のアピールがある。
井宿と暮らして、助かったことの一つが“気配が読める”ようになったことだ。
井宿は気配を消すことが上手で、逆に私は消すことなんて無理に等しい。
それでも、今では井宿が近づくとわかるようになった。
井宿の気配がわかるのだから、普通の人の気配なんて……寝ててもわかる。
「はぁ……」
歩けど歩けどついてくる。
近からず遠からずの位置にいるのだが、さすがにいい気はしない。
「気持ち悪いなぁ……」
足早に歩みを進める。
すると、やはり後ろの2人も小走りになる。
「最悪……」
ぼそぼそと呟きながら完全に走っていた。
あれ、今……一瞬だったが右の脇道に見覚えのある姿があったような。
腕だけは確かな……しかたない。力を借りよう。
「お、お待たせ~!」
「はっ……?」
バッと近づいて腕を組む。
見上げると困惑と驚きの表情をする……鬼宿と目が合う。
あぁ……これじゃ私が不審者だ……。