ふしぎロマンス22~呼びかける声~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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その日はいつ眠りについたのかわからない。だけど眠りにつくまで、彼らがいてくれたのは覚えている。
私が……寝たくないと思っている。明日になって欲しくないと……。
重い瞼を開けた。少し泣きすぎたようだ。目が腫れぼったい。
しっかりしろ。いつまでも悲観的になっていても仕方がない。
身支度を整えて部屋を出た。
「あら、起きてたのね」
部屋を出たところで柳宿がこちらに歩いてくる姿が見える。
「みんな広間にいるわ。作戦を練りましょ」
「柳宿……」
優しく背中を支えてくれる。かけてくれる声もとても優しかった。
「柳宿。話、聞いた?」
「………ええ。今さっきね」
そっと肩を引き寄せられた。
「……困ったわね。離れたくないのに……あんたがあんたの世界で無事ならそれでもいいかと思っちゃうのよ」
「柳宿……」
「きっと透もこんな気持ちなのね」
広間につくと、全員が集まる中で美朱が腰掛けて震えていた。
その横で鬼宿が片時も離れないかのように、そばに寄り添っている。
「奏多さん……」
「美朱ちゃん……」
彼女も聞いたのだろう。私は美朱のそばに行くと、しゃがんで目を合わせた。
「……大丈夫?」
「奏多、さん……っ」
美朱が椅子から飛び降りて私に抱きついてきた。倒れ込みそうになるのを堪えて抱き包む。
「嫌だよ……っ。あたし……この世界で鬼宿と……!」
「……うん。うん、そうだよね。大丈夫よ。あなた達はどんな運命でも一緒よ」
「奏多さん……」
「鬼宿」
私は膝をついてそばにいる鬼宿に目を向けた。
「話は聞いてるのよね?」
「ああ。ホントにオレも美朱の世界に行けるのか?」
「強く願って。美朱をどこにも行かせない……そう思って美朱を離さないで」
「………ああ。離さない」
「それならきっと、大丈夫よ」
ふっ、と笑った。安心させられただろうか。
ごめんなさい。私や透が来てしまったばかりに、あなた達を護るどころか先のことがわかる故に不安にさせてしまった。
「奏多さんもあっちで会える?」
「え……?」
「会えるよね!?」
視線がこちらに向いた。会える……と言いたい。
でも……私の世界は………。
「まさか……君たちは同じ世界の者ではないのだ?」
「なんやて!?」
「奏多さん……あたしと同じところから来たんじゃ、ない……の?」
「それは………」
美朱の大きな瞳が私を見つめている。その瞳は先程まで涙をこぼしていたのだろう。キラキラと潤んでいた。
「………私の世界は……」
言いかけたところで武器を持った兵が駆け込んできた。
「く、倶東の軍が……!!!」
体中に傷を負って言うなりその場に崩れ落ちた。駆け寄ろうと立ち上がると、その肩をぐっと掴まれた。
「軫宿?」
「俺が診よう」
「でも、あなたは力が……私なら……!」
「誰彼構わずするな。勿体ない」
「私の力はまだあるわ!これから私が力を使わなくてどうするのよ……っ」
「……そっちの意味で言ったんじゃないのだが……俺も医者の端くれだ。能力がなくとも薬がある」
薬……あ、ああ……そうよね。
「奏多さん、行こう」
「美朱ちゃん……怖く、ないの……?」
「怖いよ。でも……あたしは負けない。鬼宿と一緒にいられるように、戦う!」
……ああ、本当にあなたは立派になったね。
強い眼差し。最初の頃とは大違い。
「さすが、巫女だわ」
差し出された手を握りしめる。
行かなければ。この先この世界にいられなくなろうとも、行かなくては!