ふしぎロマンス21~予期せぬ事態~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「透くん!さっきの話はどういうこと!?」
天幕を出たところで、私は彼に詰め寄った。
「……もう、おしまいだよ」
彼は……力なく呟いた。
「透くん……何を言ってるの……?」
「朱雀は負けるよ」
「そんなこと!!」
「君の名前を出してもダメだった!君を欲しているのがわかっていたから不本意だけど言ったんだ!でも……君も聞いたよね。もう、遅いんだ」
「………っ」
「あの時、と言うのがいつの時かはわからない。だけど心宿にとって随分と大きな出来事だったらしい」
「そんな……誰だって逃げたくなるわ!」
でも、あの時説得していたら……違っていたの?
本当に?
「朱雀は終わりだ。こうなったら……君だけでも護らなきゃ」
自分を諭すかのように囁く。
朱雀が、負ける……?それじゃあ……美朱は……?
彼らはどうなると言うの……!?
「奏多……」
透くん……。私たちは一体ここに何しに来たんだろう。
「俺にはもう……こうするしかできない」
私、どうしたらいい……?
「君は……嫌だというだろうね。でも……」
それでも私は、ここにいたい。
「君は元の世界に、帰るんだ」
みんなと、ここに………。え?
「と、透くん……?」
物思いにふけすぎて、聞いてなかった。
でも最後の言葉は……聞き間違いじゃなかったら……。
「帰って、そして普通の生活に戻るんだ」
「……なに……」
言葉が、見つからない。
「唯に2つ目の願いを言う中に、奏多の名も言うように頼んだ」
一瞬、呼吸が止まった。
それ……は………何?
「うそ、よね……?それも嘘なんでしょう?」
「嘘じゃない」
「うそ!!」
「唯には奏多が帰りたがっていると言ったら快く承諾してくれた。でも……心宿はそうはいかない」
「…………」
「だから代わりに力を貸す。そう取り引きした」
あまりの衝撃に、歯がカチカチと鳴った。
震えが止まらない。それじゃあ、私は明日……。
「君は帰るんだ。そしてもう二度と来てはダメだ。ここは本の中。現実を見て。いつまでもこの中にいるわけにはいかない」
彼の声が、遠くに聞こえた。
どうしよう。どうしよう!そればかり思ってしまう。
「……奏多………あとの事は俺にまかせて。君の願いは俺が……引き受けるから」
「透……くん?」
「死なせたくないんだよね?彼らを」
思わず、コクコクと頷いた。
「俺がなんとかしてみせるから。だから君は……」
「いや!!」
「奏多……」
「勝手に決めないで!唯はどこ!?取り消して!」
「ダメだ。もう、諦めて……」
「いやよ!どうして……まだやれることがあるかもしれない!」
唯を探さなくては。そう思うのに、急に息苦しさを覚える。
「奏多、もう戻った方がいい。いつまでも体から抜け出すものじゃないと思う」
「……ま、だ……っ」
「よかったよ。最後に会えて。送ってあげるよ」
ビュウ!と風が巻き起こった。その風が一気に私を押す。
「奏多。幸せに、なって」
そんなの……そんなこと、言わないで。
まるで本当に最後のような言い方……。
「本当は……俺が幸せにしたかったんだ……」
「っ……透く……」
あたりが暗闇に包まれる頃、そう小さく聞こえたような気がした。