ふしぎロマンス21~予期せぬ事態~
夢小説設定
この小説の夢小説設定ふしぎ遊戯の原作に沿って進むお話。
オリジナル要素も多いです。
七星士よりも上の大人ヒロイン。
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「おう、井宿!さっきはどないしたんや?血相変えて飛び出していきよってから……」
なおも引っ張られて室内に戻ってきたところで、翼宿と会った。
構わず通り抜けたところで、翼宿と目が合う。
「ちょい、待ち」
ぐん、と体が重くなったかと思うと、進行方向とは逆に空いた手が掴まれて引き止められる。
「今は君に構ってられないのだ」
「それで“ハイ、そーですか”て行かせられるかい」
「翼宿~……」
助けて……と、目で訴えてみた。
「こいつ、どこに連れてこ思てんねん」
「奏多の部屋なのだ」
「そーかい。そんじゃ、お前は何でそない顔しとんのや?人相悪いで」
「…………」
井宿がふい、と顔を背ける。それからペタ、と頬を触る仕草。
「そのけったいな面ならついとる」
「……………」
「せやけどいつものお前とちゃうわ。なんでキレとんのや」
「君は……奏多が心宿の元へ行こうとしていることを聞いても、落ち着いていられるのだ?」
「!!」
今、ぐっと掴んでいる手に力が入った。
……翼宿も、怒るかしら。そうよね……敵陣の将に会いに行こうなんて、いけないことなのよね。
でも、翼宿はそっと掴んでいる手を離した。
「……翼宿?」
「こいつはそこまでバカとちゃうやろ。そうせないかん理由が、あるんとちゃうか?」
た、翼宿ー!!
まさか、味方になってくれるなんて!
「せやけどその理由が、しょ~もない理由やったら救いようないな。そんときゃ出られんよう、縛り付けとくしかあらへんやろ」
………!!!
ニカッと爽やかに笑ってるけれど、実はものすごいプレッシャーを与えられたような気がする!!
「それもそうなのだ」
「せやろ?ほな、その理由ちゅーもんを聞かせてもらおうやないか」
ガシッと肩に腕を回される。
………そんなわざわざ聞かせる理由なんて、持ち合わせてないんですけど……。
部屋に入ると、やっと手は解放された。
結局、井宿が離してくれなかったから、翼宿まで握りなおした。……逃げれるわけもないっていうのに。
手首をさすりながら、私は寝台に座った。
ど、どうしよう……。ものすごく視線を感じる。
なんて言ったらいい?なんて言えば、彼らは納得して行かせてくれる?
……いいえ。彼らのことだ。
話したところで、許しはもらえないだろう。
心宿と話がしたい。でも会いにはいけない。
「黙りこくっとらんと、言わんかい」
「……君は今、何を考えているのだ……?」
じ……と見られると、また何か読まれているような気がしてくる。
その目から逃げるように目線を手元に落とした。
これ……。
井宿からもらった数珠が目に入る。夢から戻れなくなった時ようにもらった数珠。
そう、か……。
心宿とは話せないかもしれない。
だけど……そばにはきっと、彼がいる。
「奏多!」
井宿に呼ばれて、ハッとして顔を上げた。
……バレている、気がする。
「なんや、どないした?」
「………また井宿に怒られそう」
「なんやて?」
チラ、と見ると既にムッとした顔が。
ほらね。もう、怒ってる。
「……寝ようかな」
「また君は……!!バカなのだ!?」
「バカって言わないでよ!!年下なくせに!」
「年上なら年上らしく、賢明に考えられないのだ!?」
「これでもちゃんと考えてるわよ!」
「どこがなのだ!?」
「ちょ、お前らなんやねん!話が見えへんぞ!!」
言い争い始める私と井宿の間に、スッと割り込んで仲裁にまわる翼宿。
これ幸いと、翼宿の背に隠れた。
「なんやようわからんが……井宿を怒らすて相当やな」
「翼宿、奏多を寝かせてはダメなのだ」
「寝かせるな、て……そんなん体壊すやろ」
「そうよ、そうよ!」
とりあえず同意した。でもそれがいけなかった。
火に油を注いでしまったようだ。
「君はわかってないのだ!最初の頃よりも戻りにくくなっていることに気づいてないのだ!?」
「えっ……?」
戻りにくく……?そう言えば……そんな気もしなくもない。
確かに以前夢を見た時、“取り込まれた”……そう、思った。